研究課題/領域番号 |
19K00079
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
拓 徹 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 助教 (90795626)
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研究分担者 |
小倉 智史 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40768438)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カシミール / イスラーム / セキュラリズム |
研究実績の概要 |
2021年7月31日に、本プロジェクト第3回研究会として、本プロジェクトの研究分担者である小倉智史(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)のセミナー"The Making of Rishi Hagiographies in Sixteenth Century Kashmir and Its Sectarian Tendency: A Different Story"をオンライン(Zoom)で開催した。 小倉発表の概要は以下の通りである。「カシミール文化の祖」と言われるラール・デードとシェイク・ヌールッディーン、とくに後者の宗教観については、それがどれほど今日の「正統イスラーム」に近いものだったのかについて論争が続いているが、論争の中心となっているのは、これらの詩人聖者たちについての聖者伝テキストの解釈である。また、これらの聖者伝テキストは、彼らが活躍した15世紀ではなく16世紀に成立しているが、それは何故なのかという疑問も生じる。実際にこれらのテキストが記された背景には、当時のカシミールで相争っていた各宗派・各派閥が、これらの詩人聖者たちを自派に近いものとして定義する必要に迫られていたという事情があった。本発表では、カシミールにおける重要な詩人聖者についての記述が、当初からシャーミール朝(1339~1561)における王位継承争い、カシミール社会におけるカースト集団間の権力争い、当時勢力を誇っていたスーフィー教団であるヌールバフシーヤの教義をめぐる見解の対立などによって歪められていた可能性があることが指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度(2021年度)の本プロジェクトは、コロナ禍のため昨年度に引き続き、本プロジェクトが必要とする海外調査や海外研究者との連携を行うことができず、基本的に待機状態となった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(2022年度)後半に総括会議を行う方向で検討中である。コロナ禍の状況を含めたその実施可能性についての検討と同時に、その内容の検討を進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究代表者・研究分担者ともに海外出張ができなかったため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、その大半を2022年秋に開催予定の本プロジェクト会議(conference)開催のための招聘費(旅費)・人件費などにあてる予定である。 研究代表者・研究分担者の海外出張が2022年度に可能となれば、出張旅費としても使用予定である。
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