研究課題/領域番号 |
19K00087
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研究機関 | 国際ファッション専門職大学 |
研究代表者 |
寺戸 淳子 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 准教授 (80311249)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 宗教学 / ケア / 障害者 / 共生社会 / 市民貢献活動 |
研究実績の概要 |
本年度はアジアのラルシュ共同体として、フィリピンの〈プンラ〉共同体の調査を、2020年2月7日~15日に行った。長年、同コミュニティの責任者を務めた日本人女性の協力を得て、共同体で生活しながらフィールドワークを行うだけでなく、普段は現場にいない共同体の関係者(理事、支援者、交流のある修道士など)へのインタビューもほぼ連日行うなど、非常に有意義な調査を実施することができた。また2019年の7月から9月にかけて、バングラデシュのラルシュ共同体の責任者が日本に一時帰国して行った活動報告に3度出席し、インタビューを行うと同時に、日本の支援者とも交流をもつことができた。さらに、大阪大学SSI(Social Solution Initiative:未来社会を構想するシンクタンク)のサロンで行われたラルシュ共同体の活動報告に出席したことで同機関とつながりができるなど、新しい関係が広がった。他方で、リモートで国際ラルシュの責任者にインタビューを行い、手応えを得られたことは、今後の調査活動にとって有益だった。資料収集と分析を継続し、論文と学会発表以外の成果発表として下記の活動を行った。 ①7月11~12日金光教国際センターの「ラウンドテーブル」で、「〈ラルシュ〉共同体運動の公共性と宗教性」の題目で発表・討議 ②7月27日「〈ラルシュ〉共同体運動の「リアリズム」-「健常者」ではないこと」の題目で発表・討議(於日文研) ③10月19日「テーブルと食卓-アレントの「共通世界」とラルシュ共同体の「食卓」-」の題目で発表・討議(於北海道大学)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、本年度も充実した調査研究を行うことができた。特に、「多元的「宗教性」」の意義を探るという本課題の目的にとって不可欠なアジアのラルシュ共同体の調査で、大きな成果を上げることができた。また、今年度は発表の機会に恵まれ、多くの方から貴重なご意見を頂くことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、アジアのラルシュ共同体として、この後、バングラデシュとインドの共同体の現地調査を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で実現が困難と思われる。だが、すでにつながりのある相手であればリモートでのインタビューでも問題がないという手応えをえられたので、バングラデシュの共同体に関しては、予定を変更して調査を行う計画である。他方のインドの共同体については、今までの人脈の助けを借りながら遠隔調査の可能性を探っていく。 2020年度は、国際宗教史学会での発表にエントリーしていたが、中止となったため、日本宗教学会学術大会での発表に変更する。同時に、準備していた英文での発表の機会を探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、新型コロナウイルスの影響で海外調査が予定よりも短縮されたことが原因で、次年度使用額が発生した。次年度も同様の問題(すでに、発表のエントリーをしていた国際学会の中止が決定された)が継続することが予想されるので、当初の予定を変更して2021年度と2022年度に海外調査を集中させる可能性や、調査対象共同体を別の地域に変更する可能性も視野に入れて、臨機応変に対応する。
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