研究課題/領域番号 |
19K00088
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
岩崎 真紀 松山大学, 経済学部, 准教授 (10529845)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ムスリム学生 / 宗教的多様性 / 大学の国際化 / 多文化共生 / 異文化理解 / 日本 / イギリス / カナダ |
研究実績の概要 |
本研究は日本と欧米の大学における学生の宗教的多様性に対応するための取り組みの調査研究を通じて、多文化が共生するキャンパス構築の実現に寄与することを目指すものである。具体的には、国内外の大学の礼拝施設やハラールフード提供の実施状況の現地調査に関して国際担当教職員、ムスリム学生、日本人学生(とくに日本の大学の場合)、ムスリム以外の外国人学生へのインタビュー調査や参与観察に基づく調査研究を手法とする。 2019年度は下記の調査を行った。( )内はインタビュイーに関する情報である。【国内】①7月:桜美林大学町田キャンパス(インフォメーションセンター職員)、②7月:愛媛大学城北キャンパス:(ムスリム研究員)、10月:同(国際連携推進機構留学生担当教員・職員)、2020年1月:同(留学生担当教員)、③2020年2月:上智大学四谷キャンパス(学生センター職員)、④2020年2月:東京大学本郷キャンパス(ムスリム大学院生)・駒場キャンパス(ムスリム教員)、⑤2020年3月:東洋大学白山キャンパス(国際部職員、ムスリム大学院生)。このほかに2020年3月に大阪大学豊中キャンパスおよび吹田キャンパス(国際教育交流センター留学生交流情報室「IRIS」留学生担当教員・職員、生協職員、ムスリム教員・大学院生)の調査を予定し、先方関係者にアポイントメントも入れていたが、新型コロナウィルス感染拡大により延期とすることにした。【国外】イギリス:8月:リバプール大学リバプールキャンパス(ムスリム・アドバイザー)、カナダ:9月:マッギル大学ダウンタウンキャンパス(ムスリム学生)、9月:コンコルディア大学サー・ジョージ・ウィリアムズキャンパス(Multi-Faith & Spirituality Centreファシリテーター、Syrian Students’ Associationムスリム学生)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の2019年度研究計画はつぎのようなものだった。①国内外の大学の宗教的多様性に対応するための取り組みの現地調査。【国内】東洋大学、国際教養大学、【国外】カナダ・オタワ大学。②調査準備・データ整理と分析。③文献収集。④研究成果の発表:日本移民学会発表、『移民研究年報』への投稿。 これに対して、実際に行った内容は以下の通りである。①現地調査:【国内】東洋大学、桜美林大学、愛媛大学、東京大学、上智大学、(大阪大学は新型コロナウィルスの影響により延期)【国外】英国:リバプール大学、カナダ:マッギル大学、コンコルディア大学。また、これら大学以外に、大学近辺のモスク、キリスト教会の現地調査も実施した。②調査準備・データ整理と分析:計画通り、③文献収集:計画通り、④研究成果の発表:『ケベック研究』12号への論文投稿(査読中)、『国際宗教研究所ニュースレター』91号への研究ノート投稿(依頼・2020年3月出版)、2020年度移民学会第30回年次大会自由論題発表(予定・査読有)。 現地調査を行った大学が当初の3大学から8大学へ増え、大学以外の宗教施設にも調査の対象を広げた点が、当初の計画以上に進展していると述べた理由である。成果発表に関しても、当初予定していた日本移民学会とは異なるものの、ケベック学会での学会発表と同学会誌への研究論文投稿以外を行ったのに加え、研究ノートの投稿(依頼)も行ったことから、当初の計画以上に進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年1月以降、新型コロナウィルスの世界的感染拡大により、国外渡航はもとより、在住県外への移動に関しても、国や県により自粛要請がなされている。このウィルスの影響は長期化し、来年以降もつづくとする専門家も少なくない。このため、おそらく2020年度は当初計画していた海外の大学の現地調査は実施できないと思われる。国内の大学の現地調査に関しては、状況が向上し、安全が確認できた場合に限り、昨年度延期した大阪大学吹田、豊中両キャンパスと昨年度実施するはずだった秋田教養大学の現地調査を行うこととする。 現地調査ができない分は、各大学の公式ホームページを通じて、宗教的多様性に関する取り組みを綿密に調べる。具体的には礼拝スペース、ムスリム学生団体ほか宗教や民族にかかわる学生団体、留学生の学生団体等に関する情報収集を行う。対象大学は、新規としてオタワ大学(カナダ)、モンペリエ大学(フランス)、国際教養大学、立命館アジア太平洋大学の調査を行い、昨年度現地調査を行った大学の情報に関しても再度確認し、大学間の比較を行う。また、これら大学近くの宗教施設についての情報収集も行う。可能であれば、関係者にオンライン・インタビューも実施する。また、調査対象の大学やその近隣の宗教施設が新型コロナウィルスの感染拡大に対してどのような対応を取っているかについても調べる予定である。 研究成果の発表に関しては、昨年度行ったリバプール大学と愛媛大学の宗教的多様性の現地調査から得られた知見を、2020年6月にインターネット上で開催される日本移民学会第30回年次大会において発表する予定である。また、『現代宗教2020』(依頼)に研究ノートを投稿する予定である。また、『移民研究』に研究論文を投稿することも検討している。
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