一般的にイスラームはクルアーンに書かれていることに厳格に従って生活していると考えられることが多い。だが実際には時代や地域によってクルアーンの解釈が変化しており、クルアーンに基づきつつ柔軟な現実との折衷が展開されてきた。本研究は現代エジプトのクルアーン解釈に焦点をあてたものであるが、この現実との柔軟な折衷の実態について解明することができた。このため、イスラームの一般的イメージとは異なる柔軟さとまた同時に伝統を墨守する性質の根強さの双方を具体的に示すことができた。 学術的にも社会的にもイスラーム社会における聖典クルアーンの役割の重要性と、信徒による解釈の多様性を明らかにすることができた。
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