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2023 年度 実績報告書

日本仏教と東南アジア仏教との比較研究-政治と権力の視点を中心として

研究課題

研究課題/領域番号 19K00097
研究機関国立歴史民俗博物館

研究代表者

松尾 恒一  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50286671)

研究分担者 片岡 樹  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (10513517)
中西 裕二  日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50237327)
上島 享  京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード東南アジア仏教 / 日本仏教 / 国家統治と寺院、仏教儀礼 / 東南アジア・東アジアにおける仏教、民間信仰の現況 / 日本における仏教、民間信仰の現況 / 上座部仏教圏と大乗仏教圏の、宗教と社会の比較研究 / 寺院組織と地域統治 / 民俗神と仏菩薩との習合と社会
研究実績の概要

本課題は、東南アジアを中心とする上座部仏教圏と大乗仏教圏である日本との比較による、国家と宗教との関係性を文化人類学、民俗学、歴史学の専門研究者との協業により考究することを目的とする共同研究である。
今年度は、3回の研究会を実施し、ゲストスピーカーとして文化人類学分野より白川琢磨氏、日本史学より佐藤弘夫氏を招聘した。特に白川琢磨氏には、四国の金毘羅八幡宮の中近世の歴史について、顕密仏教論を援用した分析は、古代・中世に創建された地方寺院においても、近世に幕藩体制下の宗教、特に仏教・神道の再編制のもとでも、地域統治に深く関与した寺院として、顕密仏教の視点からの重要性が指摘された。本課題は、単なる宗教、宗教史にとどまらず、国家統治や地域社会における役割の解明を目指す共同研究であるが、特に前近代の地域社会における農業、漁業、商・工業等、生業の基盤となる空間における寺院の役割を解明した点、大きな成果である。
松尾は、藝能学会での「春日若宮おん祭」をテークとするシンポジウムにおいて、本科研のテーマに関わる発表を行い、学会の機関紙『藝能』に発表した。興福寺・春日社は、古代~中世を通じて、大和統治の中心となった。興福寺は、藤原摂関家の氏の長者の親族が寺院の長官として門跡となり、仏教の権威と、武力を有した衆徒により、一国を統治した。大和一国のほぼ全域を荘園化して、その年貢が寺院経営と国の統治の経済基盤の主軸となり、若宮おん祭は大和各地より大和武士団や興福寺を本所とした大和猿楽が参向し、また春日所属の巫女の神楽や白拍子が奉納され、興福寺・春日社が、大和の統治者であることを表象し、それが豊臣・徳川政権下で、将軍の監視下に入りながらも継承されていたことを明らかにした。
東南アジア仏教の調査として、初年度のタイの先祖祭祀である普度会との関連より、マレーシア、ペナンの普度会を中心とする調査を実施した。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (4件)

  • [国際共同研究] 中山大学/中山大学・文化遺産研究センター(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      中山大学/中山大学・文化遺産研究センター
  • [雑誌論文] 大和国の統治の表象としての春日若宮おん祭─大和士・児の奉仕に注目して2024

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 雑誌名

      藝能学会編『年刊 藝能』

      巻: 30 ページ: 6-22

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 〈鳥船〉―明清代の唐船と琉球船―2024

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 雑誌名

      『儀礼文化学会紀要』

      巻: 12号(通巻52号) ページ: 3-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中世、対馬の府内八幡宮の放生儀礼と神楽―朝鮮半島との交流に注目して―2024

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 雑誌名

      『比較民俗研究』

      巻: 38号 ページ: 30-51

  • [雑誌論文] 素人民族誌という逆説―「ともに書くことの公共人類学」へのコメント―2024

    • 著者名/発表者名
      片岡樹
    • 雑誌名

      文化人類学研究

      巻: 24巻 ページ: 122-125

  • [雑誌論文] 源流の向こうにあるもの―山茶の事例から照葉樹林文化論を景観論に読み替える―2023

    • 著者名/発表者名
      片岡樹
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 88巻2号 ページ: 308-326

  • [雑誌論文] 「日本中世社会の形成をどう考えるのか」2023

    • 著者名/発表者名
      上島享
    • 雑誌名

      『大谷学報』

      巻: 103巻1号 ページ: 25-49

  • [学会発表] 舞楽・巫女・児、願主人、古代・中世の芸能の集大成としての春日若宮おん祭──興福寺の大和国としての春日社祭祀」(藝能学会 2023年度 芸能セミナー[藝能学会 創立八〇周年 / 折口信夫 没後七〇年]、7月23日(2023

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 学会等名
      藝能学会 2023年度 芸能セミナー[藝能学会 創立八〇周年 / 折口信夫 没後七〇年]、7月23日(日)、国立能楽堂(東京)
    • 招待講演
  • [学会発表] 水陸斎・普度儀礼の伝承―日本華僑、香港、タイ華人社会の伝承を中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 学会等名
      吉田一彦代表科研・基盤A「神仏融合から見た日本の宗教・思想とアジアの比較研究―分野横断による人文学の再生―」、疑偽経典研究会&神仏融合研究会、名古屋市立大学
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 地域環境と神仏の信仰、儀礼;日本文化と神仏」2023

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 学会等名
      松尾恒一代表科研・基盤研究(C:19K00097) 「日本仏教と東南アジア仏教との比較研究─政治と権力の視点を中心として」研究会、京都大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 殺生戒・放生儀礼と起源伝承―古代・中世の国難と自然・文学2023

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 学会等名
      広島大学荒見泰史教授主催「金岡照光先生33回忌国際研究集会 敦煌文献と中国文学」広島大学
  • [学会発表] 照葉樹林文化論の再点検-日本と東南アジアの山茶をめぐって-2023

    • 著者名/発表者名
      片岡樹
    • 学会等名
      日本文化人類学会第57回研究大会
  • [学会発表] Backdoor to Thailand: CIA-KMT Connection behind the Mass Exodus of the Lahu Christians to Thailand2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsuki Kataoka
    • 学会等名
      2023 AAS-in-Asia Conference(韓国)
    • 国際学会
  • [学会発表] International Relations from the Periphery2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsuki Kataoka
    • 学会等名
      2023 KIAS-BUFS International Conference(韓国)
    • 国際学会
  • [学会発表] タイの廟から日本の神社を考える2023

    • 著者名/発表者名
      片岡樹
    • 学会等名
      現代民俗学会第71回研究会シンポジウム
  • [学会発表] 光源氏と藤原道長 ―共鳴し相反するふたつの〈王権〉―2023

    • 著者名/発表者名
      上島享
    • 学会等名
      2023年度中古文学会大会シンポジウム「〈紫式部〉研究の今とこれから」 龍谷大学
  • [学会発表] 神仏習合から見る日本文化論2023

    • 著者名/発表者名
      中西裕二
    • 学会等名
      松尾恒一代表科研・基盤研究(C:19K00097) 「日本仏教と東南アジア仏教との比較研究─政治と権力の視点を中心として」研究会、京都大学
    • 招待講演
  • [図書] 韓国国立民俗博物館・企画展『MASK』2023

    • 著者名/発表者名
      韓国国立民俗博物館
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      韓国国立民俗博物館
    • ISBN
      978-89-289-0365-8
  • [図書] 『日本藏明清時期中日貿易相関民俗資料選編』2023

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 総ページ数
      337
    • 出版者
      陝西師範大学出版
    • ISBN
      9787569535624
  • [図書] 永池健二編『女性の力から歴史をみる 柳田国男「妹の力」論の射程』アジア遊学290、松尾恒一「長崎のかくれキリシタンのマリア信仰」2023

    • 著者名/発表者名
      松尾恒一
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      978-4-585-32536-9
  • [図書] 『四国山地から世界をみる―ゾミアの地球環境学―』、片岡樹「日本の地域を見ることの面白さ―東南アジアで再発見する四国―」」2023

    • 著者名/発表者名
      片岡樹
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      978-4812223031

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公開日: 2024-12-25  

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