研究課題/領域番号 |
19K00101
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹峰 義和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20551609)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | メディア / フランクフルト学派 / ベンヤミン / アドルノ / クラカウアー / クルーゲ |
研究実績の概要 |
今年度は、ベンヤミン、アドルノ、クラカウアー、クルーゲにおけるテクストと受容者との関係について検証する作業を中心に研究を進めた。また、2020年2月にドイツ・マールブルク文学資料館を訪れ、そこでアドルノとクラカウアーの未刊行の草稿資料を調査を行った。そこから判明したのは、1)彼らのテクストにおいて、知覚、経験、省察というモティーフが主題的に考察されているだけではなく、それがエクリチュールの次元における表現形式と深く関連しているという点、2)みずからのテクストを広義における「公共圏」において大衆の経験の地平を拡張する媒体のひとつとして捉えているという点だった。また、当初の研究計画ではあまり重視していなかったクラカウアーの後期の映画論とその関連草稿もまた、フランクフルト学派の思想におけるメディアと経験にまつわる問題や、受容者の位置付けに関して重要であることを確認できた。 具体的な成果としては、論文「暗い時代のカタツムリ――アレクサンダー・クルーゲのレッシング賞受賞演説における〈文芸公共圏〉の理念」(日本独文学会発行の学会誌に掲載決定)および、論文「Die Kraft des Blickes. Zum Motiv des Ansehens/Angesehen-Werdens als aesthetischer Erfahrung bei Walter Benjamin」(論文集Bilder als Denkform (De Gruyter, 2020)に収録決定)を執筆したほか、2020年3月11日にベルギー・ルーヴェン大学で招待講演「Die strategischen Performativitaet der Frankfurter Schule」を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年9月からドイツで在外研究を行っており、自由に使える時間が増えたために順調に研究を推進することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きドイツでの資料調査と成果を論文の形で執筆することに専念する。なお、コロナウィルスの影響で、図書館や資料館での調査が不可能な状況が続く場合、すでに入手している資料を分析する作業を先に重点的に行うことで対応する。
|