研究課題/領域番号 |
19K00102
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
イ ヨンスク 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (00232108)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近代的身体と芸術 / 東アジアの文化的交流と変容 / 石井漠と崔承喜 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代東アジアにおける文化的・身体的越境の様相を多元的・複眼的にとらえることを研究の目的とする。近代日本を代表する舞踊家石井漠(1886―1962)、石井漠の弟子である朝鮮の崔承喜(1921-1969)と台湾の蔡瑞月(1921-2005)の芸術活動の軌跡を調べ、近代東アジアにおける文化的モダニティの様相を究明するに注目して研究を進めている。2022年度は、コロナの影響も多少改善され、2021年度よりは資料調査のための海外渡航も容易な状況となった。しかし、渡航先は主に韓国で、本研究の当初計画していた資料調査地の一つである台湾は規制が厳しいため、渡航することができなかった。崔承喜に関する資料を調べる中で、モダンダンスは民族美学と深い関わりあることがわかった。そのような視点で、石井漠についての研究も日本の民族美学のコンテクストから研究を進めた。2022年度の研究成果は、2022年9月29日にWongkang Universityの東北アジア人文社会研究所で「石井漠と植民地朝鮮-囚われ人を中心に」というタイトルで講演し、論文を発表した。また2023年3月のボストンで開かれたアジア学会で<The Vitality of Korean Aesthetics in Clothing, Folk Paintings, and Localized White Porcelain>のセッションで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は国立国会図書館、韓国のソウル大学、延世大学、高麗大学などで所蔵されている資料と、民間に知られている未刊行・未公開の資料を調べることができた。その資料を基に、ボストンで開かれたアジア学会とWongkang 大学で成果発表をした。おおむね順調に進んだが、コロナの影響で台湾への海外渡航ができなかったために、台湾の資料は不足している。しかし、本研究を進める中で、発見した<民族美学(Ethno-asethics)>という新しい研究分はさらに深めることができた。その成果は、国際シンポジウムで発表し、論文としてまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は日本、韓国で資料収集を行い、集まった資料を丹念に読みながら、研究を進めて行く予定である。とくにこれまで研究が進まなかった台湾における近代舞踊の受容と変容について注目をしていく。コロナ状況がもっと改善され台湾への渡航が容易くなれば、台湾で資料収集を行う予定である。2023年度の研究成果は、2023年6月にデンマークのコペンハーゲンで開催される国際学会で、口頭発表と論文発表をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、本研究の最後の年度である。コロナの影響で実施できなかった海外での資料収集と研究成果のために、残額は旅費と書籍購入に使用する予定である。具体的には、2023年6月にデンマークのコペンハーゲンで開かれる国際学会と2024年3月にアメリカのシアトルでの国際カンファレンスで研究成果を発表する予定である。
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