本研究は「モダンダンス」から近代東アジアにおける文化的・身体的越境の様相を多元的・複眼的にとらえることを目的に進めてきた。近代日本を代表する舞踊家石井漠、石井漠の門下生であった朝鮮の崔承喜と台湾の蔡瑞月の三人の舞踊家の芸術活動と足跡に注目し、アジア的身体と近代についての研究を試みた。しかし、コロナの影響で台湾への渡航ができなかったために蔡瑞月に関する研究は、計画とおりに進めなかったが、2019年10月30日から11月4日まで台北で開催した<第14回蔡瑞月国際舞踊フェスティバル>にコメンテイターとして参加し、貴重な資料を収集した。それらの資料をもとに今後の研究に生かした。 コロナのために研究環境が変わり、文献研究に集中し、踊りを民俗と宗教から考察する新しい学際的視点を発見することができた。その研究成果は、2020年10月に国際学会 the 10th World Congress of Korean Studiesで発表した。さらに本研究を<民族美学(Ethno-Aesthetics)>という観点で考察することになった。その成果は、国際シンポジウムで口頭発表をし、2021年12月に『Hitotsubashi Journal of Arts and Sciences』(Vol.62)で、論文を執筆した。2022年度と2023年度は、より具体的に<民族美学>と<身体的越境>を研究を進めていた。2022年度の研究成果は、国際シンポジウムとアジア学会で発表を行った。 2023年度の研究成果は、2023年6月にデンマークで開かれた31st AKSE Conferenceで<旅芸人と民族美学>について発表を行った。また2023年8月にカナダのUBCの国際シンポジウムLiで<朝鮮の民族踊りと民族美学>について発表をした。
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