研究課題/領域番号 |
19K00109
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
ラム ウィンカン (林永強) 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (90636573)
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研究分担者 |
浅見 洋 石川県立看護大学, 看護学部, 特任教授 (00132598)
志野 好伸 明治大学, 文学部, 専任教授 (50345237)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 西田幾多郎 / 儒教 / 倫理学 / 日本哲学 / 中国哲学 |
研究実績の概要 |
2019年度は、西田倫理学における古典儒教の用語や概念を一部整理し分析した。まず、石川県西田幾多郎記念哲学館にて資料調査を行い、西田の中国哲学関係の蔵書を調査した。次に、西田と古典儒教との交錯によって、倫理学的意義を初歩的に究明した。そして、西田をはじめとする近代日本哲学の倫理学的系譜をも見えてきた。
また、東アジア倫理学、さらに東アジア哲学という視座から、西田倫理学と古典儒教との比較研究を再考し、国際的コラボレーションによって開拓している。前者はEast Asian Ethicsというプロジェクトで、2019年4月に台湾大学にて国際シンポジウムを開催し、東アジアから十数名の研究者が東アジア倫理学について発表した。後者は、International Society of East Asian Philosophyという学会で、2019年12月に明治大学にて国際シンポジウムを開き、世界中から80名程度の研究者が東アジア哲学について発表した。このような国際的交流を、今後も継続し、それぞれの年次大会を世界中で開催する予定。研究成果はThe Journal of East Asian Philosophy (Springer社にて、査読有)等のジャーナルに投稿する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は資料調査を中心とした計画に沿い、石川県西田幾多郎記念哲学館で西田の儒教関係の蔵書を調査した。2015年より発掘された未公開ノートも調査する予定だったが、まだ整理中のため、2020年度に再度訪ねていこうと考えている。また、一回目の調査結果により、台湾や日本での学会にて発表し、のちに専門誌に投稿する予定。儒教における近代日本哲学関係の文献を読み進める中、西田に影響を受けた哲学者たちも、倫理学的に儒教と無関係ではないと発見した。近代日本哲学、特に倫理学において、儒教の受容は想像以上深く、無視できない。
近年、西田をはじめとする近代日本哲学の国際化が加速しており、今回のプロジェクトも国際交流を通して開拓していく。まず、倫理学に関しては、East Asian Ethicsという国際的コンソーシアムを立ち上げ、一回目のシンポジウムは台湾大学で開催された。また、東アジア哲学に関しては、International Society of East Asian Philosophyという国際的学会やThe Journal of East Asian Philosophy(Springer社にて、査読付)というジャーナルも創設した。今年度の成果はそれぞれの場で発表し、様々なジャーナルに投稿する予定。今後もそのような国際的プラットフォームで研究成果を発表していく。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は一次文献や二次文献を調査し続けます。前者は石川県西田幾多郎記念哲学館を再度訪ね、西田の未公開ノートを調べておく。また京都大学や学習院大学史料館にも調査しにいく予定。後者は儒教、特に倫理学に関する文献を精査し、西田倫理学との関係をより一層解明しておく。その上、倫理学、特に規範倫理学の諸論理という視座から、西田倫理学の形成と意義を再検討する。つまり、古典儒教の受容史から、倫理学的創造性を見出しておく。
また、西田幾多郎生誕150周年を記念し、西田についてのシンポジウムを開催する予定。論文を発表する一方、成果として専門誌に投稿する。また、二回目のEast Asian Ethicsの国際シンポジウムも企画しており、開催する予定。そして、International Association of Japanese Philosophy, Society of Asian and Comparative Philosophy等の国際学会にて発表し、西田倫理学の研究を更なる国際化したい。
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