• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

『百科全書』に見る進歩と反動:公認学説の地位をめぐる新旧諸学派の科学・哲学論争

研究課題

研究課題/領域番号 19K00111
研究機関青山学院大学

研究代表者

井田 尚  青山学院大学, 文学部, 教授 (10339517)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード百科全書 / 啓蒙主義 / アリストテレス主義 / デカルト主義 / ニュートン主義 / 進歩主義 / 科学史 / 哲学史
研究実績の概要

最終年度は、研究課題の対象コーパスである集団的著作としての『百科全書』そのものから、『百科全書』の編集長を務め、いわゆる百科全書派の代表的なフィロゾフ(啓蒙思想家)として活躍したドゥニ・ディドロ(Denis Diderot, 1713-84)の個人著作に焦点を移動し、『百科全書』の様々な科学・哲学項目に見られる思想がディドロの個人的な信念としての唯物論思想とどのように連関しているのかを探る試みを行なった。
具体的には、ディドロが1750年代初頭から1760年代末にかけて執筆した『自然の解釈について』、ソフィー・ヴォラン宛の書簡、『ダランベールの夢』という、ジャンルも形式も異なるテクスト群を読み解く作業を通じ、物質は無生物から生物の状態へ移行し得るのではないか、あるいは、人間や動物の生から死へ、死から生への移行は、元から生命を備えた有機分子の永遠の分解と結合によって説明できるのではないか、といったディドロに特有の唯物論的な「逆説」、科学的仮説の数々が、数学者・物理学者ダランベールが担う数学的・力学的な世界観に抗うかのように繰り返し生起する様子を見届け、その成果を論文として発表することができた。
研究期間の全体を通じ、上記の最終年度の論考の他に、『百科全書』において、アリストテレス主義が検閲を掻い潜るための「合法的な」哲学的言説としての役割を果たしたこと、「新哲学」としてのデカルト主義の栄枯盛衰の歴史を叙述する『百科全書』の言説にそれに取って代わる啓蒙思想の進歩をアピールする意図が込められていること、『百科全書』におけるディドロの無署名項目の認定基準には未だ余白が見られること、『百科全書』に頻出する証明・演示の概念が科学の哲学的啓蒙を意図する百科全書派の科学観を反映していることなどを、論文として公表することができ、概ね研究計画通りに有益な成果を挙げることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] ディドロの唯物論的世界観と循環する思想 サロンの談話から哲学小説まで2024

    • 著者名/発表者名
      井田 尚
    • 雑誌名

      青山フランス文学論集

      巻: 32 ページ: 30-49

    • DOI

      10.34321/23110

    • オープンアクセス
  • [備考] 青山学院大学 研究者情報

    • URL

      https://https://raweb1.jm.aoyama.ac.jp/aguhp/KgApp?resId=S000214

  • [備考] AURORA-IR 青山学院大学・女子短期大学 学術リポジトリ

    • URL

      https://www.agulin.aoyama.ac.jp/search/aurorair

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi