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2019 年度 実施状況報告書

14世キリスト教霊性における神化思想の受容と展開:エックハルトとゾイゼを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 19K00119
研究機関立教大学

研究代表者

阿部 善彦  立教大学, 文学部, 准教授 (40724266)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードエックハルト / ゾイゼ / 神化思想 / 受肉 / アスケーシス / シュネルギア
研究実績の概要

本研究は、聖書的・教父的伝統を有する神化思想(Theosis)が、14世キリスト教霊性史においてどのように受容され展開したかを、主に、エックハルトと、その弟子ゾイゼのテキストに基づいて明らかにするとともに、西方キリスト教における神化思想の伝統の忘却が、エックハルト研究に致命的な欠陥をもたらしたという問題認識に立ちつつ、本研究では、エックハルトとその弟子ゾイゼのテキストを中心に、14世紀西方キリスト教世界において、どのように神化思想の伝統が脈々と受容され、いかなる思想展開を遂げたのかを解明することを目指す。本年度においては、1)聖書的・教父的伝統を有する「神化思想」を、さらに、キリスト教独特の「受肉」による救済理解との関係性をたどりつつ、テキスト読解を掘り下げる作業を進めた。「受肉」による救済という観点からテキストを読み解くことで、キリストの受難・十字架をめぐるエックハルトおよびゾイゼの言説が、いかにして、彼らの主要概念である「離脱」や「放念」と、そこに展開される神化思想がつながるのか、明確にすることができ、本研究の目的の一部の達成につながった。その成果の一部はシンポジウムと書籍(共著)で公開された。また2)14世紀以降のキリスト教霊性史との関係については、タウラーとリュースブルクについていくつかテキスト読解を進め、そこで重視される「無」および「愛」に関する理論的言説と実践的指針の特徴の解明を試みた。また3)受肉および神化思想における聖霊の意義について聖書及び教父的伝統に沿った思想展開について調査できた。それらの成果は、次年度以降に受肉および神化思想との関係を踏まえながら、さらに発展させてゆきたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

年度末に向けて研究をさらにいっそう充実発展させる予定であったが、コロナ対応のため、学内役務の負荷がおおきくなり、十分な時間を充てることができなかった。そのため、テキスト読解および資料分析に充てる時間も当初の見込みより少なくなった。これにくわえて、参加を考えていた学会や研究会なども中止になり、他の研究者との意見交換の機会も少なくなってしまった。そうしたことによって、当該年度における研究全体を点検し、次年度の実施内容に反映させる作業が手薄になってしまった感がある。また、一部の図書館などの研究施設の利用に制限が出てきたため、当初の予定通りとは言えない状況となっている。

今後の研究の推進方策

コロナ情勢による諸制約があるため、状況に合わせて、臨機応変に判断しながら、実施可能なものを優先して研究を進めてゆく。内容としては、今年度の成果を踏まえながら、受肉および神化思想が、エックハルトとゾイゼにおいて、また、14世紀以降のキリスト教霊性史において、どのようなかたちで実践論と結合しているのか、さらに解明を進めてゆく。また、それによって、東方キリスト教において受肉および神化思想を基盤として展開される、神人協働(シュネルギア)的実践論との比較可能性についても、さらに解明を進めてゆく。その際には、受肉および神化思想における聖霊の意義をより的確に見定めてゆきたいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] キリストの光とかたち―エックハルトを中心にー2019

    • 著者名/発表者名
      阿部善彦
    • 学会等名
      シンポジウム「中世における光とカタチ」(聖カタリナ大学)
    • 招待講演
  • [図書] 光とカタチ ─中世における美と知恵の相生─(シリーズ 教父と相生③)(執筆箇所「キリストの光とかたち-教父たちの「受肉の文法」とエックハルトの「離脱」-)」2020

    • 著者名/発表者名
      宮本久雄、樋笠勝士、坂田奈々絵、阿部善彦、鐸木道剛、金沢百枝
    • 総ページ数
      128(86-108)
    • 出版者
      教友社
    • ISBN
      978-4-907991-60-9

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公開日: 2021-01-27  

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