研究課題/領域番号 |
19K00121
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
森 新之介 早稲田大学, 高等研究所, その他(招聘研究員) (80638718)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 法然房源空 / 選択本願念仏集 / 浄土宗 / 選択要決 / 専修念仏政策 |
研究実績の概要 |
本(2020)年度は研究成果を査読付き論文と査読なし研究ノート、査読なし雑録1本ずつとして公表した。 査読付き論文「『選択本願念仏集』と初期浄土宗――形見から初学書、そして付法書へ――」は、前(2019)年度末に投稿したものであり、査読を通過して掲載された。本稿は、本研究課題全体にとって重要な役割を果たすことが期待される。 査読なし研究ノート「建永二年乃至嘉禄三年の専修念仏者と朝廷、寺院――補訂三題――」は、建永2年以降に専修念仏は弾圧されたのかなどの問題について、自説の遺漏や失当を補訂したものである。3つの個別問題についての落穂拾いのような内容ではあるものの、昨年の疫禍で図書館などが利用できなかった時期に、手許にある限られた史料で出来るだけのものを執筆しようとした成果である。 査読なし雑録「『選択要決』撰者弁証」は、前述の「『選択本願念仏集』と初期浄土宗」が査読を通過した後、同稿で援用している『選択要決』の撰者などについての見解を明確にする必要があると自覚し、急遽執筆した。その執筆過程で、学界未知の佛教大学附属図書館浄教寺文庫蔵『選択要決』の存在など多くの発見があり、研究が大いに進んだ。 その他、本年度に投稿した論文「最初期源空諸伝の形成過程――山門からの訴訟などに着目して――」が査読を通過したため、次(2021)年度中に刊行される予定となっている。また、本年度は学会発表2回を予定していたが、どちらも疫禍のため開催自体が中止となった。 次年度以降の研究にも必要な書籍や論文を入手し、読解した。それらは読み取り可能なPDF化し、自分用のデータベースを構築しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」欄で述べたように、当初の研究計画になかった『選択要決』についての研究は大いに進んだ。しかし、やはり前述のように、予定していた学会発表2回が中止となったことは痛手であった。 またその『選択要決』研究も、疫禍のため他大学図書館を訪問して史料調査することができず、思うようには進んでいない。代替策として貴重書の複写物を請求入手しているが、それにも限界がある。 疫禍で出張がなくなったため、旅費に充てる予定だった科研費が浮くこととなった。しかし、代替策である貴重書の複写物請求などのため予定外の支出が発生したため、科研費の運用に余裕はほとんどない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次(2021)年度は、すでに学会発表1回が確定しており、論文2本(うち1本は査読付き)と研究ノート1本、そして『選択要決』校註稿を投稿する予定である。また、本研究課題全体の仕上げ作業も予定している。 ただし、疫禍のため予断の許されない状況が続いており、研究計画を予定通りに遂行できるかは非常に不透明である。防疫に細心の注意を払いつつ、状況の変化に柔軟に対応して研究目標の達成を目指したい。
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