研究課題
基盤研究(C)
本研究によって、研究者であれば誰でも調査できるような大学図書館でもなお史料発掘の余地があることや、学界既知の史料であってもなお活用の余地があることを確認できた。また、法然房源空の主著『選択本願念仏集』が当初から浄土宗内で広く重んじられていたとか、源空はある夜の夢で半金色の善導と対面したとかの数百年来の通説にも修正を迫った。以上の成果は諸学会で研究発表し、査読付きの論文や研究ノート、校注などとして刊行した。
日本中世思想史
多くの研究者に活用される醍醐本『法然上人伝記』の成立過程について分析し、勢観房源智に由来する箇所は全体の一部分だけらしいことなどを論証できた。また、鎌倉後期の作でないかとも疑われてきた『選択要決』は、嘉禎2年(1236)に源智が撰述したものと見てよいことを論証するとともに、学界未知の同書写本(佛教大学附属図書館浄教寺文庫蔵)を紹介翻刻して学界に便を供することができた。