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2020 年度 実施状況報告書

近代日本の「科学」と伊波普猷――科学思想史から「沖縄学」を照射する

研究課題

研究課題/領域番号 19K00126
研究機関立命館大学

研究代表者

三笘 利幸  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60412615)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード伊波普猷 / 科学 / 沖縄学 / 言語学 / 人類学
研究実績の概要

昨年度は、伊波普猷が接した当時の最先端「科学」である進化論、優生学、人類学などの基礎的文献を渉猟し、伊波の思想形成の「場」を総体として捉えるところに注力した。本年度は、それを受けて次なる研究のステージに進んでいく算段だったが、コロナ禍のため、大きく活動が制限されてしまった。諸資料に迅速かつ連続的に当たることが不可能な状況が続いたこともあり、今年度はひとまずは次のところに注力することとし、コロナ禍の中でも着実に研究を進めることにした。すなわち、当時の「科学」が伊波の中でどのような思想を形成していくことに具体的に結びくのかを、伊波がその研究を開始する東京帝国大学進学時期から時系列で考察して行くことにしたのである。
伊波が進んだ東京帝大で、彼は言語学を修めたことに注目し、彼の師である上田万年がその言語学を「科学」としてどのように構築したのか、そしてそれを伊波がどう受け取り、そして彼の研究活動を展開していったのかを詳細に追跡した。現在、伊波の思想と言語学とのかかわりについて論考を準備しており、近々『立命館大学産業社会論集』に発表する予定である。また、伊波が修めた言語学は、言語にのみ閉じたものではなく、人類学や他の領域を「学際的」に要求するものであり、伊波はそれに沿うように人類学そして進化論と彼の「科学」的知見を広げていく。このあたりについても、今後それぞれ1本ずつ論考を準備しており、順次発表していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の中、注力すべきところを限定したものの、伊波の思想形成を追うという意味では研究は進められている。もちろん、当初予定のすべてについて満足のいく研究ができたわけではなく、計画どおりという評価はできない。しかし、着実に進めるべきところを進めており、限定的な議論ではありながらも一定の成果には結びつけられると考えられる。

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き、コロナ禍の中の研究となるが、昨年度よりも研究環境は通常に戻りつつある。ただし、またいつ不測の事態が起きるとも限らず、それに備えて、今年度もまずは着実に進められる部分に注力し、できる限り研究を前進させたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により、資料収集、学会参加などの当初予定が果たせず、研究費に残額が生じた。今年度は昨年度予定の活動も遂行して使用したいと考えている。

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公開日: 2021-12-27  

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