研究課題/領域番号 |
19K00127
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 知子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00334847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境 / 人新世 / 動物 / 芸術 / 植物 / 資本主義 / テクノロジー |
研究実績の概要 |
本研究は、芸術と環境、動物と人間の関係がどのように変化しつつあるのか、その系譜学を再考するとともに、バイオアートをはじめとする芸術と科学の遭遇に着目し、人間と人間ならざるものとの関係性の変容を具体的な芸術作品をもとに明らかにしていくものである。 1年目にあたる今年度は(1)先行研究、従来の動物、芸術、生命をめぐる理論的文献の整理、(2)動物とその表象、動物とメディアを軸としたバイオアートに関する資料収集、インタビュー調査、国際会議での発表、(3)研究インフラの整備 を中心に進めた。その成果の一部は、ニュージーランド、北京、フィリピンで開催された3つの異なる国際学会で発表し、今後の研究を進めていく上で貴重な意見交換を行うことができた。 またデジタル・テクノロジー、生命科学、生命工学、バイオアート、思弁的実在論をはじめとする様々な分野の研究の進展をふまえ、現代芸術と生命、生命と物質、生命と情報をめぐる様々な関係の変容について、東京大学出版から刊行された共著『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求ーポスト・ヒューマン時代のメディア論』(伊藤守編)に「生資本主義時代の生と芸術ークトゥルー新世・人工生命・生哲学」として論考を発表した。さらに社会的に多大な影響を及ぼしているディズニー映画における女性表象を精神分析的に考察し、その表象がディズニー独自の動物/自然観への描き直しの手法とどのように接続するのか、ディズニー映画におけるジェンダーと自然をめぐる構造を考察し、明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会での研究発表、アーティストへのインタビュー調査、文献調査等を概ね予定通り進行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2020年度は、新型コロナウィルスへの対応により予定されていた国際学会は中止となったが、昨年度の文献調査、インタビュー調査をもとに研究成果を論文にまとめ、刊行していく予定である。とりわけ、人間の活動によって地球環境が大規模に変動した、いわゆる「人新世」と呼ばれる現代社会のなかで、人間と人間ならざるものとの関係性の変容をどのように捉えていくべきなのかを、人間と自然、人間と環境、人間と動物との関係を系譜学的に再考しながら、具体的な芸術実践を通じて考察していく予定である。
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