本研究は、従来の映画史研究がナショナルな枠組みにとらえられすぎていたことへの反省から、映画作品の伝播に伴う文化的融合または摩擦、異なる文化圏にまたがる映画人の活動、国境を越えた民族的ネットワーク圏における映画制作の状況といった映画史における諸々の事例に注目し、下記二つの切口を軸とした映画史の再構築を試みた。 1.無声映画期の欧米諸国におけるアジア映画の上映およびアジア映画人の活動の実態について、調査・分析する作業を始めた。2.これまで充分に踏査されてこなかったヨーロッパ諸国におけるアジア映画の受容の実態について実態調査と分析を試みた。
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