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2020 年度 実施状況報告書

ドイツにおけるトルコ系移民の音楽伝承メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 19K00130
研究機関信州大学

研究代表者

濱崎 友絵  信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (90535733)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード音楽伝承 / トルコ系移民と音楽 / ディアスポラ
研究実績の概要

本研究の目的は、ドイツにおけるトルコ系移民の音楽伝承のメカニズムを明らかにすることにある。1960年代から現代に至るまで、トルコ系移民たちは、ホスト社会において種々の音楽コミュニティをつくり、いわゆる「伝統音楽」を継承してきた。ディアスポラ下で彼らがこうした「伝統」に向き合う際に、そこには「場」にかかわる文脈や教授者/学び手としての双方向性、さらに音楽実践にともなう再編の力学など、複層的な交渉と選択があったとみることができる。こうした伝承の「網の目」が交差する仕組みをフィールドワークを軸とした実証研究によって明らかにすることが本研究の目指すところである。
2020年度においては、コロナ禍のため現地調査が叶わなかったことから、昨年度に引き続きディアスポラ研究と音楽にかかわる二次資料の整理をおこなった。とくに、より議論の精度を上げるための参照点として、ブラジルの日系人の間の伝承の「場」のスペクトラムを論じた細川〔Hosokawa:2013〕や、音楽コミュニティの定義とその意味の拡張を主張したシェレメイ〔Shelemay:2011〕、音楽の公共性とオーラリティ(口頭性)の関係を文化的持続性と結びつけて議論したタイトン〔Tition:2016〕らの論を整理、検討し、「音楽伝承」を成立させるための前提論の確認をおこなった。また厳密な意味で比較対象とならないものの、音楽の伝承のメカニズムを考える上で有益であると考えられる日本の民俗芸能伝承についても(Thornbury: 1994、植田:2007、相澤・佐久間:2017など)資料収集および読解を進めていった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍のため、フィールド調査の催行を見合わせる事態となっており、当初計画していたドイツにおけるトルコ系移民の音楽コミュニティでの実地調査が実施できていない状況にある。そのため、2020年度においては、音楽学的観点からの研究の方法論と分析フレームの検討に重点を置くこととし、主に二次資料の収集と検討をおこなった。

今後の研究の推進方策

2021年度においては、引き続き研究の方法論とフレームワークの妥当性について検討を進め、今夏にベルリンにおいて現地調査(トルコ音楽学校および音楽コミュニティでの参与観察)を予定している。なお昨年度と同様、コロナ禍のため現地調査が叶わない場合は、音楽学をはじめ、社会学や文化人類学領域の成果を参照することで分析フレームの検証を進めつつ、比較対象として日本における民俗音楽伝承のメカニズムについても考察を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
初年度および昨年度に計画していた現地調査を実施することができなかったため、未使用額が生じることになった。
(使用計画)
2020年度の未使用額については、2021年度請求分とあわせて、文献資料の収集および現地調査による予算執行を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 美学の事典2020

    • 著者名/発表者名
      濱崎友絵(共著)
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      丸善出版社

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公開日: 2021-12-27  

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