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2021 年度 実施状況報告書

ポスト・ノスタルジー美学の成立と構造

研究課題

研究課題/領域番号 19K00132
研究機関神戸大学

研究代表者

大橋 完太郎  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40459285)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードノスタルジー / 近現代美学 / 比較文化論
研究実績の概要

本年度は、現代の文化理論、および美学・芸術学的観点を重視した現代哲学の議論を精査し、そこにおいてノスタルジーがどのような近代的機能を帯び、またさらなる近代化(ポスト近代)向かうために、その表象装置がもたらす利点と不利益とを確認した。
具体的な成果としては、早稲田大学で開催された表象文化論学会における研究パネルにおいて「個の救済とポップなもの」という発表を行い、脱歴史化されたポストモダン的高度資本主義社会において表れている存在と美の様式について、それを「ポップなもの」として扱うことに伴う文化的意味と、そこにおいて切断されるノスタルジー的要素との関係を考察した。
もうひとつの成果は、雑誌『現代思想』に掲載された宮崎裕助、千葉雅也、両氏との鼎談がある。ポストモダンを再考するという企画趣旨のもと進められた本鼎談においては、1960年代以降欧米から発して日本にも学術的にも文化的にも大きな影響を与えたポストモダンとその哲学を歴史化することの意義が検討され、とりわけその動向がたとえば80年代ノスタルジーを形成しないために、それらにどのような学術的展開を与えることが必要であるかなどが議論された。
執筆されたものとしては、『啓蒙思想の百科事典』に、「理神論」および「小説(フランス)」を執筆し、近代初期における信仰と理性の関係、および近代的個人における内面性の発達と言語表現の関係などを精査し、執筆内容には直接反映されるものではないが、こうした要素が同時代におけるノスタルジーの発生を促した一因となっていることが確認できた。
いずれの成果においても、本科研による文献調査や考察がベースになっており、一連の研究を通じた執筆が、その論文化・書籍化を目的として進められている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

海外での調査および海外学会(国際美学会)の開催延期によって、中間段階での研究成果を精査する機会が失われている。来年度にはある程度状況が回復するのではないかと思われる。

今後の研究の推進方策

幸いにして2022年度の前半期に海外調査の機会を得ることができているので、ノスタルジーの歴史的発展について西洋の文献を網羅し、またそれらが最新の理論的動向のなかでどのように評価されているかを検討することができると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

海外渡航調査の機会の逸失

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] Paris University Nanterre(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Paris University Nanterre
  • [国際共同研究] Wien University(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      Wien University
  • [国際共同研究] German Historical Institute London(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      German Historical Institute London
  • [雑誌論文] フラット化する時代に思考する : ポストモダン思想再考2021

    • 著者名/発表者名
      大橋完太郎、千葉雅也、宮崎裕助
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 49 (7) ページ: 8,21

  • [学会発表] 個の救済とポップなものの哲学2021

    • 著者名/発表者名
      大橋完太郎
    • 学会等名
      表象文化論学会
  • [学会・シンポジウム開催] PASSAGES PHILOSOPHIQUES VI: Online Symposium on Contemporary Philosophy in France and Japan2022

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公開日: 2022-12-28  

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