研究課題/領域番号 |
19K00139
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
早川 陽 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (20739007)
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研究分担者 |
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00416265)
歌川 光一 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (50708998)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 美術・文化 / 愛好者 / 学校外教育 / 西洋/漢学/日本 / 盆栽 / カルチャーセンター |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における美術・文化愛好者の再生産過程を、学校外での教習活動の実態から明らかにすることを目的としている。2019年は、4月16日に打ち合わせを行い、「美術・文化」を主に、美術と盆栽、漢学、生活文化の3領域に分類した上で、それぞれについて作業を計画した。 まず、愛好者の実態を把握する基礎資料として、愛好家事典、趣味事典、具体的には鶴橋泰二編『趣味大観』(趣味の人社、1936年)、鶴橋泰二編『雅苑集』(静交倶楽部、1937年)等を共有し、愛好者増加と趣味縁形成の過程を確認した。また、補足的に島内柏堂編『大正名人録』(黒潮社、1918年)等の人名録や、波多野承五郎『古渓随筆』(實業之日本社、1926年)等の愛好者の自伝も収集した。民間の特定の団体、会、社中については、沿革史・機関誌を収集し、活動実態の把握に努めた。盆栽団体の資料は『日本盆栽協会誌』『小品盆栽press』『盆栽春秋』等を対象とした。 さらに、美術と盆栽に関しては各時代に隆盛した『盆栽雅報』『華』『東洋園藝界』『盆栽』『盆栽月報』『自然芸術と科学』『盆栽世界』『近代盆栽』『盆栽情報』『週刊毎日グラフ(盆栽特集)』『自然と盆栽』等の雑誌、ハウツー本としての『サンケイ園芸百科シリーズ』『グリーンムックス』等、学術誌としての『盆栽学雑誌』、通信教育の教本等に着目し、資料の収集を進めている。 2020年3月17日には昭和女子大学で研究会を開催し、早川陽「盆栽のアマチュアリズム」、研究分担者の歌川光一「女性の教養をめぐる戦後教育史上の課題」、研究分担者の塚本麿充「幕末明治期の書家」「ヴァナキュラー概念」をキーとした報告を行った。明治から戦後に至る美術・文化愛好者の再生産過程には領域を交差する状況が見られた。鶴橋泰二『趣味大観』等の資料データベース化については次年度の実施とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3領域「美術と盆栽」「漢学」「生活文化」それぞれの課題設定、および基礎資料の収集については、順調に計画が進んでいる。研究会の開催や、成果物への集約を今後進めるための資料の多くが集まった。鶴橋泰二『趣味大観』等の資料データベース化については遅れが発生している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、引き続き基礎資料の収集とデータ分析に努める。その中でも、『南画鑑賞』(南画鑑賞会、1934-1944)については、南画と植物の矩形、南画と文人趣味、南画と書法、および漢詩の享受者層についての分析を試みる。また、青少年の美術・文化に関わる課外活動の活動実態や学校外での愛好を把握するために、協力を依頼できる範囲で、中・高等諸学校の校友会・同窓会雑誌の分析を行う。鶴橋泰二『趣味大観』等の資料データベース化については、次年度に引き続き実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入に充てた金額のうち、21円の残額が発生した。このまま次年度に繰り越して使用する予定である。
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