本研究では、ADMVのTV第1回(1859)から第38回(1902)までの室内楽コンサートの全曲目をデータベース化し、傾向として、声楽、特に独唱歌曲が過半数を占めること、器楽作品の作曲家としては、ブラームスに次いでドレーゼケ、ベートーヴェン、ラッセンが多いが、多くの作品が時代を超えるレパートリーとして残っていないことが分かった。また、本研究を通じてはさらに、「新ドイツ派 Neudeutsche Schule」の命名の背景、とりわけ「派 Schule」のコンテクストと、「派」(日本語ではしばしば「楽派」)の語が音楽史記述に導入された経緯、およびその意味の変遷について明らかになった。
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