研究課題/領域番号 |
19K00160
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
GILLAN Matthew 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50468550)
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研究分担者 |
大内 典 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50213632)
遠藤 美奈 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (80772780)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 仏教唱歌 / 仏教音楽 / 仏教讃歌 / 声明 / 尺八 / 仏教 / 岩井智海 / 館山漸之進 |
研究実績の概要 |
ギランは、浄土宗の僧侶であった岩井智海(1863ー1942)の活動と彼が明治27年に出版した『仏教音楽論』の成立過程や社会的な意味を考察した。岩井が東京音楽学校に所属したこと、また神津仙三郎・伊澤修二などとの交流があったことが、彼の仏教音楽論に大きく影響したことを明らかにした。また、明治22年の大日本帝国憲法の公布が刺激した「国体」の創立という文脈において仏教音楽論の位置づけを試みた。本研究は『東洋音楽研究87号』に掲載される予定である。 大内は、邦楽調査掛が近代の声明の展開に及ぼした影響を、とくに平曲家館山漸之進(1845-1916)の仕事を見直しつつ探った。館山は、その著作『平家音楽史』によって声明の「音楽」としての側面に光をあて、調査掛の関心を声明に向けるきっかけをつくった。また『平家音楽史』の出版は、彼がもつ政界経済界を含む人的ネットワークを通じ、声明を仏教界や音楽界の枠を超えて認知させることにもなった。 遠藤は、戦前期のハワイにおける讃仏歌の定着過程を明らかにした。1918年の「讃唱隊」登場から浄土真宗本願寺派による英語伝道部設立に伴うアメリカ本土様式の英語礼拝(英語讃仏歌)の導入、汎太平洋仏教青年大会(1930)を契機とした仏教音楽研究会の創設を追った。その後、1936年にはアメリカ本土へ仏教聖歌隊が逆輸入され、1寺院(教会)1仏教聖歌隊の組成に至ったことを明らかにした。 また、本年度は、研究成果をふまえ、オンラインで国際シンポジウムを開催した。シンポジウムには、レヴィ・マクローリン(ノースカロライナ州立大学)、ファビオ・ランベッリ(カリフォルニア大学)各氏を招聘し研究を深化させるとともに、近代や国内外で展開した日本の仏教音楽を多面的に探るために天台声明の齊川文泰師および「テクノ法要」を朝倉行宣師らの実演とレクチャーから、伝承の現場の「今」を考える試みも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度よりコロナの影響により研究が遅れていたが、2021年度では国際シンポジウムを開催することができ、概ね予定していた研究計画通りにすすんでいる。 ただし、一部の海外調査が実施できていないため、研究期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度・2020年度に開催した公開講演会および2021年9月に開催したシンポジウムの内容をもとに、研究図書の出版を計画している。2022年度中に出版社へ入稿することを目指している。 2022年度に海外調査が可能となった地域へ積極的に調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの状況により海外調査ができなかった。
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