「テーマ①『思想』再刊号の領域横断的言説圏の実態解明」:1930年代の『思想』(岩波書店)及び写真雑誌『光画』の網羅的調査を行った。また、2022年度に引き続き、長谷川三郎が満蒙旅行(1938年)で撮影した写真に関する研究の一環として、1930年代後半の満蒙旅行に関する書籍、雑誌記事等の調査を進めた。 「テーマ②前衛美術家による写真表現の実態解明」:2022年度に引き続き、2020年度にデジタル化を実施した長谷川三郎、福沢一郎の写真資料のデータベース構築を行った。特に長谷川三郎の満蒙旅行の写真に関して、調査に基づき撮影地や被写体の特定を進め、メタデータの充実を図った。また、甲南学園長谷川三郎記念ギャラリーと、長谷川三郎の作品および資料の整理方法、目録作成方法についての打ち合わせを実施した。 「テーマ③造形作品における写真・映像の「影響」の実態解明」:「「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容」展(松涛美術館ほか)、「『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本」展(京都文化博物館、板橋区立美術館ほか)、「生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真」展(兵庫県立美術館、東京ステーションギャラリーほか)といった展覧会を視察し、本研究テーマに関連する作例の収集を行った。また、「『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本」展に関しては、1930年代の前衛美術を専門とする研究者による研究会に参加し、情報交換を行った。
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