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2021 年度 実施状況報告書

百武兼行研究-イタリア時代に焦点をあてて

研究課題

研究課題/領域番号 19K00173
研究機関佐賀大学

研究代表者

吉住 磨子  佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (20284622)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード百武兼行 / 鍋島直大 / ピエトロ・ミッカ / レオン・ボナ
研究実績の概要

明治美術学会(令和4年2月5日)において、「百武兼行作《ピエトロ・ミッカ図》再考」という題目で口頭発表を行った。発表、質疑応答合わせて1時間であったが、質疑応答の時間が足りず、学会プログラム終了後も20分ほど質疑応答が行われた。それにより、今後の研究の進展に繋がる大変有益な意見を収集することができた。一方、令和4年3月に予定していたシンポジウム実施のために、シンポジスト3名と11月から2月にかけて、対面およびオンラインによって、貴重な意見交換を行うこともできた。また、レオン・ボナの研究者であるジョージア大学教授アリーサ・ルクセンバーグ(Alisa Luxenberg)氏とメールによる意見交換も開始することになった。
以上の経験から得られた知見(仮説)としては、百武がローマに滞在中(1880~82年)も、パリ時代(1878~79年)に就いた恩師レオン・ボナと繋がりがあった(これは記録から裏付けられている)。そして、《ピエトロ・ミッカ図》制作の背景にはボナが関わっていた可能性があること、すなわち、ちょうど1880年にはフランスのサロンの規程が変更され、外国人に対して門戸が広げられた。ボナは当時のサロンに影響力をもつ作家の一人であったが、百武はサロンを意識し、この大作歴史画を制作したのではないかという仮説。もう一つは、学会発表においては、百武の公私にわたるパトロンであった鍋島直大とサヴォイア家の強い繋がりに注目した後、サヴォイア家が19世紀前半から「ピエトロ・ミッカ」をリソルジメント推進のための視覚的装置にしていたことを歴史的に明らかにした。それによって、百武がミッカ図を描いた背景には、直大とサヴォイア家の繋がりがあったことを指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和3年度にはイタリアでの現地調査を実施した後、本課題研究の総まとめの一つとして、3月には佐賀におけるシンポジウム開催を予定していた。しかしながら、COVID-19感染症拡大状況の悪化により、現地調査の中止とシンポジウムの開催延期を余儀なくされたため。

今後の研究の推進方策

令和4年度には延期となったシンポジウム「百武兼行と鍋島直大ー近代佐賀における芸術保護(仮題)」を開催する。そして、「イタリア時代の百武兼行」研究のまとめとして、このシンポジウムの報告書を編み、刊行を目指す。同時に、次のテーマである「パリ時代の百武兼行」の準備として、米仏のレオン・ボナの研究者との交流、および文献の収集と文献調査を開始する。

次年度使用額が生じた理由

Covid19感染拡大状況の悪化のため、令和3年度内にシンポジウムが開催できなかった。そのため、シンポジウムを令和4年度に延期開催するが、そのための費用(謝金、旅費、その他)に科研を充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 百武兼行《ピエトロ・ミッカ図》(1882年)再考2021

    • 著者名/発表者名
      吉住磨子
    • 学会等名
      明治美術学会

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公開日: 2022-12-28  

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