研究課題/領域番号 |
19K00177
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
松原 典子 上智大学, 外国語学部, 教授 (10338428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フェリペ3世 / 宮廷肖像画 / スペイン・ハプスブルク家 / エル・グレコ / スペイン黄金世紀 |
研究実績の概要 |
本研究では、17世紀初頭のフェリペ3世期の宮廷美術に焦点を当て、研究蓄積が豊富な前後の治世(フェリペ2世期、フェリペ4世期)との比較検討を取り入れつつ、フェリペ3世期の美術の特性を明らかにすることを目指している。2019年度は研究の初年度にあたるため、研究全体の基盤を構築するうえで不可欠であると思われるものの、これまで未見であった文献資料の収集と精読が活動の中心となった。特に、本研究の個別テーマとして設定しているフェリペ3世の宮廷における公的肖像画、宗教美術を考察していくうえで重要な視点を提供してくれる同時代の政治、宗教政策に関する歴史学の文献を渉猟した。 また、3つの個別テーマの一つに関わるエル・グレコについて、2014年の没後400年記念を契機に書籍の刊行や論文の発表が相次いでいることから、それらに目を通し、最新の研究成果を整理した。本研究に直結するものではないが、今後の研究を進めていくうえでヒントとなり得るようないくつかの新知見に接することができた。 当初、2020年2月から3月にかけてスペインに渡航し、国立図書館およびプラド美術館付属図書館における資料収集にあたるとともに、マドリードの王宮で開催中の16 、17世紀のスペイン王家の女性たちによる宗教美術のパトロネージに関する展覧会(La otra Corte. Mujeres de la Casa de Austria en los Monasterios Reales de las Descalzas y la Encarnacion)を視察予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりやむを得ず中止した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は日本での文献収集、精読とあわせてスペインでの資料収集、作品調査、展覧会視察を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により渡航できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、新型コロナウイルス問題の動向により流動的ではあるものの、可能な限り早い段階でスペインでの資料収集、調査を実現したいと考えている。上記のマドリード王宮の展覧会も9月中旬まで会期が延長されたことから、それまでに渡航できれば理想的である。 日本での文献収集、精読も継続するとともに、個別テーマに即した考察を深め、現地調査の結果とあわせて論文にまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、資料収集、作品調査、展覧会視察の目的で予定していたスペインへの渡航を中止せざるを得なかったため。次年度使用額が生じた。 これについては、2020年度の渡航費に充当する予定である。
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