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2019 年度 実施状況報告書

赤外線撮影による下絵を利用した、レオナルド派作品の帰属判定と伝播経路の特定

研究課題

研究課題/領域番号 19K00178
研究機関東京造形大学

研究代表者

池上 英洋  東京造形大学, 造形学部, 教授 (00409806)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード帰属問題 / レオナルド・ダ・ヴィンチ / レオナルド派 / 赤外線撮影 / 下絵 / 美術史 / ルネサンス / イタリア美術
研究実績の概要

課題研究の初年度実績は計画通りの結果が得られています。第一段階として、研究遂行に必須となる赤外線撮影用機器を入手し、何度かテストを重ねて使用法を習得する作業をおこないました。その目的のために、本務校である東京造形大学の美術学科絵画専攻の教員および学生の協力を得て、板絵とカンヴァス画において下絵を数種のタイプ別に撮影しました。
その作業と並行して、実際にレオナルド派の作品を所有する海外の機関にコンタクトをとり、撮影許可を取得し、現地調査をおこないました。2019年10月にフランスで最初の作品撮影と調査をおこないました。
複数作品に対しておこない、成果をえましたが、一例として、ガネイ版<サルヴァトール・ムンディ>が、クリスティーズ―アブダビ版<サルヴァトール・ムンディ>に使用された下絵カルトンと同一のカルトンが用いられて描かれたものとの推論をたてて調査をおこないましたが、赤外線撮影の結果、スポルヴェロ法を用いた時に残される転写孔の跡も、インチジオーネ法を用いた時に残されるスクラッチの跡も発見できず、粗描きのラフなスケッチ描線しか発見できませんでした。つまり同作品は同一カルトンを用いて制作されたものではなく、レオナルド工房で同時期に受注されたものではないことが確実となりました。
参考となる文献資料の入手も順調に進んでおり、本課題研究の遂行におおいに役立っています。2019年度末には2020年度におこなうべき調査のためのコンタクトも順調に進行しました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述したとおり、本課題研究で計画した初年度研究はすべて順調に消化し、期待した通りの成果が得られています。二年目となる2020年度の計画遂行のための準備も順調に進めることができました。ただし2020年2月後半から顕著になってきたコロナ禍により、今年度予定していた海外での現地調査が計画通り遂行できるかどうかの見通しが現時点でたっておらず、その点によって「おおむね順調に進展している」ものと判断しました。

今後の研究の推進方策

前述したとおり、今年度はコロナ禍の影響で、海外での現地調査の見通しがたっていません。現地機関とは協力への快諾を得ていますが、実際に渡航できるかはまだわかりません。現在は本務校での講義のオンライン化の作業に忙殺されており、その業務がひと段落した後で、コロナ禍の推移をみつつ、在外機関との日程調整に入りたいと考えています。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] レオナルドの神秘思想2020

    • 著者名/発表者名
      池上英洋
    • 学会等名
      レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念シンポジウム「レオナルドのさまざまな顔―その多面性をひもとく」
    • 招待講演
  • [学会発表] レオナルドの現在地2019

    • 著者名/発表者名
      池上英洋
    • 学会等名
      レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念シンポジウム「レオナルドの今/レオナルドと日本」
    • 国際学会
  • [学会発表] レオナルド・ダ・ヴィンチ 最新の研究と試み2019

    • 著者名/発表者名
      池上英洋
    • 学会等名
      イタリア研究会11月例会
    • 招待講演
  • [図書] レオナルド・ダ・ヴィンチ 生涯と芸術のすべて2019

    • 著者名/発表者名
      池上 英洋
    • 総ページ数
      608
    • 出版者
      筑摩書房
    • ISBN
      978-4-480-87400-9

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公開日: 2021-01-27  

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