研究課題/領域番号 |
19K00179
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
河本 真理 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (10454539)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カモフラージュ / ダズル迷彩 / 第一次世界大戦 / 第二次世界大戦 |
研究実績の概要 |
令和2(2020)年度は、新型コロナウイルス感染症禍のため、予定していた海外渡航を全て取り止めざるを得ず、図書館も閉館したり入館者数が制限されたりするなど、全般的に研究が進めにくい状況にあった。その代わり、調査する予定だったアーカイヴや図書館のオンライン上で公開されている資料を閲覧して、調査を進めることに努めた。 このようにオンライン上ではあるが、第一次世界大戦時のアメリカのカモフラージュに関しては、アメリカ海軍省のNaval History and Heritage Commandを主に閲覧し、イギリス人のノーマン・ウィルキンソンによるダズル(dazzle)迷彩のシステムが導入される以前の、「低視認性(low visibility)」に基づくアメリカ独自のシステムや、それがダズル迷彩に取って代わられた経緯などについて調査した。 第二次世界大戦時の日本のカモフラージュに関しては、国立国会図書館に所蔵されている、日本人によって書かれた偽装に関する理論書や資料、美術・デザイン教育の教本などを、主にオンライン上で閲覧して分析した。憲政資料室に所蔵されている日本占領関係資料のうち、アメリカ海軍が作成した日本の艦船のカモフラージュに関する資料は、Fischer-Tropsch Archive(オンライン)で閲覧した。 また、『西洋美術研究』No. 21の「特集:美術と科学」に合わせて、主に第一次・第二次世界大戦期のカモフラージュにおける美術と生物学という「二つの文化」の関係性を、「競争」と「コラボレーション」の複雑な様態として考察する論文を投稿中である。 なお、第一次世界大戦後の美術とイデオロギーの問題についての考察を深めるものとして、『古典主義再考II 前衛美術と「古典」』(中央公論美術出版)に、「前衛/古典主義/プリミティヴィズム―両大戦間期の美術の問題系をめぐって」を寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2(2020)年度は、新型コロナウイルス感染症禍のため、予定していた海外渡航を全て取り止めざるを得ず、図書館も閉館したり入館者数が制限されたりするなど、全般的に研究が進めにくい状況にあった。その代わり、アメリカ海軍省のNaval History and Heritage Commandや国立国会図書館などのオンライン上で公開されている資料を精力的に閲覧して、調査を進めることに努めた。憲政資料室に所蔵されている日本占領関係資料のうち、アメリカ海軍が作成した日本の艦船のカモフラージュに関する資料は、オンライン上で公開されているFischer-Tropsch Archiveで閲覧した。 このように、オンライン上でできる調査は可能な限り進めたつもりだが、カバーしきれなかった部分もあったことは否めない。したがって、全体としては、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和2(2020)年度は、新型コロナウイルス感染症禍のため、予定していた海外渡航を全て取り止めざるを得なかった。令和3(2021)年度に渡航する予定ではあるが、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況が予断を許さないため、海外渡航が困難な間は、引き続きオンライン上で資料の閲覧を行い、成果をまとめることに注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2(2020)年度は、新型コロナウイルス感染症禍のため、予定していた海外渡航を全て取り止めざるを得ず、旅費を全く使用しなかった。そのため、次年度使用額が生じたのである。令和3(2021)年度は、海外渡航にその費用を充てる予定ではあるが、新型コロナウイルス感染症禍でなお海外渡航ができない場合は、図書や高精細の画像等の購入に充てる。
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