2020年に入ったあたりから社会的に、そして、国際的に大きな影響をもたらしたコロナウイルスの影響により、2020年度に計画していた国外調査はもとより、国内にある関係資料館などでの調査を行わなかったため、残念ながら、当初計画したような形では調査、研究を前に進めることはできなかった。記念館等に保存されているような、一次的な原資料に当たることはできなかったものの、日本陶磁、中国陶磁に関するすでに刊行された書籍や展覧会図録などをもとに陶磁学者小山富士夫に関する小論をまとめるなどした。 「小山冨士夫の現代陶芸へのまなざし:古陶磁と伝統工芸のはざま」『美史研ジャーナル』第16号、武蔵野美術大学美学美術史研究室発行、2021年3月31日、24-38頁。 「近代陶芸 陶芸家たちの古典復興」『陶説』日本陶磁協会発行、第815号、2021年4月1日、24-32頁。 在宅を迫られたこの一年を振り返って、あえて、成果といえるものをを挙げるとすれば、在宅環境での成果としては、これまで私自身、断片的な知識しかなく、比較的弱い領域だった中国陶磁史に関する図書資料を手当たり次第に読み、基礎的な知識を蓄えることができたことがひとつの成果といえるだろう。そして、本研究の内容と直接かかわることではないが、パソコンやネットに関する自宅の環境を整備し、在宅での研究環境を整備することができたことだろう。いまさらながら、インターネットの便利さを実感することができたし、しっかりと調査などに活用できるようになりたいと思うようになった。
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