研究課題
基盤研究(C)
本研究は、敦煌地域に所在する唐宋時代の仏教石窟内に造られた塑像および壁画を対象に、個々の図像学的考察とともに、窟内全体の荘厳プログラムの解明を行ったものである。千手観音図、薬師経変、維摩経変等の図像の新解釈を提示するとともに、窟内正面仏龕の本尊像と龕内壁画、および周壁の図像の考察を通して、窟内の図像荘厳と法会や受戒といった宗教行為との関係を想定するに至った。
東洋美術史、仏教美術史
敦煌石窟の窟内にあらわされた仏教美術の図像について、墨書題記や関連経軌等と照合し解明を行った本研究の成果は、仏教美術史や図像学の研究進展に繋がっただけでなく、仏教学・仏教史・歴史学など他分野にも寄与できるものである。加えて、窟内全体の図像プログラム解明の成果は、敦煌石窟に限らず、仏教図像や宗教美術の研究において有効な理論を提示するものとして学術的に大きな意義がある。