研究課題/領域番号 |
19K00194
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松島 朝秀 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (60533594)
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研究分担者 |
野角 孝一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (50611084)
荒井 経 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60361739)
高林 弘実 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (70443900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 芝居絵屏風 / 顔料 / 染料 / 科学調査 / 祭礼 / 高知 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、祭礼に活用されている近代日本画の彩色表現において、西洋顔料と岩絵具の使い分けの理由が、地域社会に影響を受けているのか検証することである。本研究の学術的独自性は、絵画の色材や技法を特定する科学的調査と、絵画を継承する地域の民俗学的調査を合わせ、近代日本画の彩色表現の原動を学際的に研究することである。美術史において、科学的調査は新しい可能性を見つける試みの一つである。科学的調査は絵画の制作技法や彩色の情報を客観的にする。作品を構成する材料や技法に関する情報が得られ体系化できれば、作家の制作現場を中心とした時代背景、作家の新たな試み、さらには作家の制作に対する姿勢、言わば「理念」を汲み取ることへ貢献できると考える。民俗学的調査は、近代日本画史や近代日本画材料史の美術史的調査の基盤を、より磐石にするための客観的な史実を得るために重要不可欠な役割がある。以上の研究手法によって、絵画の彩色表現の原動を解き明かすこれまでにない研究である。 また、本研究は一過性の研究ではない。これまで議論されてきた近代日本画における西洋顔料の役割を解明する一翼になると思われる。例えば、芝居絵屏風の彩色の根拠が解明されれば「西洋顔料は単に希少な岩絵具の代用品ではなく、従来の日本画の色材に代わり新しい彩色表現の改良のために用いられた」と議論へ繋がる可能性があり、近代日本画彩色表現の再考に貢献できると考える。本研究は、研究対象の関係性が複雑であり研究手法も学際的であることから、研究資料を明確化する。科学的調査の対象である実資料を「直接資料」、民俗学的調査の対象である史実・現象を「間接資料」とし、本研究に関わる研究分担者や研究協力者と、双方の関係性や役割について意思疎通を効率よく進め研究の創造性を高める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、祭礼に活用されている近代日本画の彩色表現において、西洋顔料と岩絵具の使い分けの理由が、地域社会に影響を受けているのか検証することである。本研究の学術的独自性は、絵画の色材や技法を特定する科学的調査と、絵画を継承する地域の民俗学的調査を合わせ、近代日本画の彩色表現の原動を学際的に研究することである。しかし今年度は、感染症拡大の社会状況の影響から、フィールド調査が困難な状況にあったため、調査自体は一切実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、フィールド調査、他機関が所有する絵画作品を調査することが主な研究手法であるため、感染症の地域拡大の状況に左右される。現在、感染症が広域に蔓延した場合はさらに調査実施が困難になる。現在、今後の対応に関して検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、感染症の影響でフィールド調査や他機関での調査ができなかったため。 次年度に関しては現在検討中である。
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