研究課題/領域番号 |
19K00198
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
吉村 典子 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20347917)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リチャード・ハミルトン / ニューカッスル / ハットン・ギャラリー |
研究実績の概要 |
リチャード・ハミルトンがかかわった「これが明日だ」展(ロンドン、1956年)を再考する口頭発表を2019年5月美術史学会で行い、同展の共同制作者ジョン・ヴェルカーの新出の資料をもとにした口頭発表を同年8月に意匠学会全国大会で行った。 本研究は、ハミルトンのニューカッスル時代に焦点をあてるもので、彼が拠点としたダーラム大学(現ニューカッスル大学)で2019年6月に調査の機会をえることができた。調査では「これが明日だ」展の前後にニューカッスルで開催された「Man Machine and Motion」展(1955年)、「An Exhibit」展(1957年)の詳細がわかる資料を閲覧することができ、開催までの計画を読み取ることができる書簡等もみつかった。加えて、当時の展示を記録した写真や図録も確認することができた。 これらをとおして、上記主要3展示を比較考察できるようになり、それによりみえてきたことは、ハミルトンが一貫して「知覚」と「表象」の問題を制作の中で意識しているということである。このことにより、美術史的には「ポップ」の文脈で議論されてきた「これが明日だ」展について、新知見を提示できるものと考えられる。同様のことは、のちのハミルトンの作品にもみられ、それについての拙稿は美学会学会誌『美学』に掲載(2020年6月)、それにデザイン論的議論を加えた論考が、デザイン史デザイン学国際会議 (ICDHS)で採択され、口頭発表と論文掲載される機会をえた。 また、ニューカッスルの調査では、1966年にハミルトンが行ったマルセル・デュシャンの「大ガラス」(通称)の再現についての記録や図録も閲覧することができた。ハミルトンのデュシャン受容として考察を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3月に計画した海外調査が、COVID-19の問題で中止した。ハミルトンのデザイン教育を解明する課題において、当時ハミルトンが訪れ、交流もあったドイツのウルム造形学校(現ウルム・ミュージアム&古文書館)、およびウルム造形学校と連携していたブラウン社のミュージアム等での調査と現地研究者との会談をとりつけていたが、渡航制限解除後に取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
渡航制限が解除されるまでは、2019年6月のニューカッスルでの調査で入手した資料の整理・分析・考察につとめ、国内の資料収集と関係者のインタヴューを進めたい。また、Web会議システム等を通じて、海外研究者との交流を深め、現地調査にむけての基盤形成をはかりたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に計画した海外調査がCOVID19問題で中止となった(渡航制限解除され次第、再計画する)。その際、使用する器材等も再計画時に購入予定。
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