研究課題
2021年度も新型コロナ感染拡大のため、当初予定していたアメリカでの研究調査(イェール大学美術ギャラリー、ニューヨークのユダヤ博物館他)は中止となったが、これまで入手した文献の精読と新たに出版された文献の収集を行いながら研究を進めた。その成果は、2021年12月に開催された新約聖書図像研究会オンライン例会にて「初期ユダヤ教美術の諸問題」と題して発表し、今後の研究成果の公刊に向けて準備が進められている。その他にも、英語論文“Pope Gregory III (731-741) and S. Crisogono: Liturgy and the worship of images”を執筆・投稿し、イタリアの出版社Campisano Editoreより刊行予定の論文集掲載にむけて編集段階にある。本研究計画では、近年新発見が目覚ましいイスラエルのガリラヤ湖周辺のシナゴーグ群(4~6世紀)の調査研究を中心テーマのひとつとしていたが、新型コロナによる国内外の移動制限を受けて、オンライン上のアーカイヴを利用したユダヤ教写本挿絵研究にも新たに視野を広げた。その成果の一部は、2022年2月に名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テキスト学研究センター主催オンライン講演会「中世写本挿絵の魅力」にて発表した。また、ハンブルク大学主催オンラインカンファレンス“Still 'Caput Mundi'? The Role of Rome between Late Antiquity and the Early Middle Ages”(3-5 March 2022)に参加し、海外研究者との意見交換も行った。その他、関連の最新文献に関する書評2点(詳細は以下の研究成果欄を参照)を執筆し、国内への研究紹介も行なった。
2: おおむね順調に進展している
本年度も新型コロナ関係の状況は改善せず、海外調査・研究は実施できなかったものの、昨年度の経験から学び、落ち着いて実現可能な研究計画をたてることができた。また、自身の研究発表をめぐって専門家たちと議論を深めることができたため、さらに今後の課題、新しい展望も開けた。
2022年度こそは、イスラエルとアメリカでの調査を実施することで、現地での遺跡および作品観察、新しい画像データの入手を通じて、研究の一層の深化をはかりたい。また、現在イタリアをはじめとする海外研究者と共同し、成果公開の方法についても摸索中であり、社会状況が許せば、その実現にむけて計画を進める予定である。
新型コロナ感染拡大のため、当初予定していたアメリカでの研究調査が実施できなかったため、旅費の使用額に大きな変更が生じた。今後の使用計画については、社会の状況次第で柔軟な対応策を考えるが、2022年度に関しては海外調査を行う予定である。現状では文献資料収集を中心に行い、画像データの保存、整理を並行して進める。
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西洋古典学研究
巻: 69 ページ: 69-72
西洋中世研究
巻: 13 ページ: 155-156