研究課題/領域番号 |
19K00200
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
黒岩 三恵 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (80422351)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 西洋美術史 / 中世美術 / 写本彩飾 / ネーデルラント / ブルゴーニュ公 / 聖体 / 聖バルバラ / 視覚性 |
研究成果の概要 |
15・16世紀のネーデルラント彩飾写本の調査を行った。ブルゴーニュ公やロークロスター修道院所有の作例等に関し、写本の作品構造、注文主・読者による写本の使用、同時代の信仰と視覚、を主軸とする多面的な資料収集と最新の研究アプローチも援用して分析・考察し、信仰と美術の関係について仮説を提示した。彩飾写本と密接に関わる、実体変化の教義を背景として流行を見る奇跡の聖体や聖バルバラ図像と関連資料の調査を行った。前者は「奇跡の聖体」関連の美術を、後者は聖女バルバラ図像の成立の経緯を明らかにする目的でフランスにおける時系列的分布を調査・分析した。写本彩飾の背景となる当世の視覚性について新知見を得た。
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自由記述の分野 |
美術史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ブルゴーニュ公フィリップ善良所有の彩飾写本を中心に、新たな視点、研究方法を用いて考察を行った。ほぼ未研究のバイエルン州立図書館蔵『善良公のいとも小さき祈祷書』が、著名なオランダ国立図書館蔵『善良公の時祷書』と挿絵、テクストともに相当の重複を含み、かつ祈祷文の後補や手指の皮脂汚れの状態から善良公の日常の祈祷行為の痕跡も含む重要な作例であることを解明した。 また、聖体の実体変化の教義が当世の視覚性や視覚文化に与えた影響については、豊富な作例に反して研究が少ない1370年のブリュッセルの聖体冒涜事件とその図像を複合的に分析し、当世の「霊的な視覚性」の実例として提示した。
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