本研究は近代書画碑帖収蔵史研究の一環として位置づけられるものである。本研究では「収蔵集団」を想定し、未公刊資料の分析を通じて、辛亥革命から第2次世界大戦終了時までの時期に、関西中国書画碑帖コレクションが形成された要因について解明することを目的とした。そして、犬養木堂の「収蔵集団」における役割、博文堂(美術商)の活動、中国人収蔵家の活動、複数の収蔵集団に所属した収蔵家の活動、内藤湖南と長尾雨山の収蔵指南活動について検討し、このコレクションが、主に明治44年以後の羅振玉コレクション、大正中葉から昭和初期にかけての著名中国人収蔵家コレクションの流入によって形成されたものと見通すことができた。
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