古代の磨崖仏の多くは軟質の凝灰岩に彫られているため経年劣化を抑制することは難しい。22か所で行った3D撮影による形状の記録保存は、将来の保存修復に備える意味でも重要である。ほとんどの磨崖仏が銘文や史料を欠くため、現在でも評価が定まっていないのが現状であり、本研究では美術史学の立場から改めて古代磨崖仏をリスト化し、尊名や制作年代について再検討し、あわせて古代磨崖仏の史的展開を考察した。磨崖仏の調査研究を進展させ、学術的に評価していくことにより、文化財としての磨崖仏の重要性を顕彰し、保存整備へとつなげていくことが可能になると考える。
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