研究課題/領域番号 |
19K00211
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
角 美弥子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50569829)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 無形の文化財 / 文化財保護 / 芸能 / 博物館 |
研究実績の概要 |
調査予定の芸能および施設について事前調査を行った。基礎的な調査および、以前に行った調査のアップデートをはかり、最新のデータをそろえた。また、予定施設以外にも同様の施設があるため、その検討も併せて行った。 芸能に関する施設と言っても、上演の有無や用途の違い、入館料の違い、展示物・展示目的の違いがあり、それらの整理が必要であった。また、芸能が実演される催事期間中に施設での上演を増やしたり、入館料を無料にしたりする施設もあり、単純な比較はできず、芸能や地域も含めて施設の実態を把握し、検討することが重要であることを認識した。また、調査予定施設の同地域にある県立博物館及び市町立博物館について、芸能の展示状況の調査も併せて行った。民俗風習が全県的な芸能は県立博物館でも言及されているが、地域的なものでは展示がない場合もある。民俗よりも歴史や考古を中心とした博物館もあり、いわゆる「地域の資料館」では芸能の展示は少なかった。 施設が対象としている芸能についての認識が不足していたため、各芸能についても文献調査を行った。芸能そのものに関する調査だけではなく、芸能と博物館、芸能と観光の関連性に着目した文献を主に調査してまとめた。以上に基づき、当初計画していたアンケートの内容を再検討し、必要事項を洗い出している。補助金は施設におけるアンケート調査の実施とそのまとめに充てるため、これらの事前調査はほかの調査とも併せて、大学の教員研究費または自費で行った。 ホーランエンヤの実地調査については、事前に準備をしていたものの、十分ではなかったため、当日の現地ヒアリング調査にとどまった。ほかの芸能および施設については、現地でのアンケート調査を年度末に行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、実現していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度は本務である大学の授業や入試に関して、新カリキュラムへの移行により授業準備時間が増加し、また新型入試導入の検討について専攻の担当者として対応しており時間をとられたため、資料およびデータ整理が中心となった。従って、基礎調査についてはほぼ完了し、随時必要があればアップデートする程度となっている。調査項目もほぼ確定している。 しかしながら、各施設での通常年の調査を春休みの3月に集中的に行おうとしていたところ、新型コロナウイルスの影響により移動が制限されたため、現地調査が実施できておらず、調査が遅れている。 現在、新たにスケジュールを調整しているが、本人は移動が可能でも当該博物館的施設への来館者の減少が予測され、今回の研究では実際に現地に足を運ぶ来館者の意見を重用したかったが、調査を行っても通常年に近い結果が出るかは不明である。芸能に特化した博物館的施設の有用性、および当該施設が地域振興に資する可能性が高いことを明らかにするという目的は変更せずとも、調査方法の再検討が必要であるため、現状では研究が停滞していると判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
令和二年度は、本務である大学の授業が前期は全て遠隔授業となり、その対応のために予定以上の時間がかかっており、研究に専念できる時間が減少していること、後期は対面授業が可能になっても前期に行えなかった実技系統の授業の補填を行わなければならないため、こちらも当初予定の研究時間の確保が難しいことが考えられる。 アンケート調査やインタビュー調査は、関係者も新型コロナウイルス対応で忙しくまた不安な中、調査への協力を依頼するのも憚られるのが現状であるため、実際に現地に行かずともデータが取れるように新たに検討を行うが、従来行われていた調査形態とは全く別の手法を考案、採用することも必要であると考え、今年度前半に対応策を練り、後半で最小限の調査を行いつつ、楽観的ではあるが、感染症また本務の落ち着く来年度に主なワークロードを計上したいと考える。全体的な結果が出次第学会にて研究発表を行う予定であったが、ワークロードの分散のためにも基礎調査の部分だけでもまとめて投稿する予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は調査対象施設・地域への旅費を主とし、3月の実施を予定していたため、今年度の予算通りに支出をすることができなかった。消耗品・設備備品費については急な時に自費で購入してしまったものもあり、計上できなかった。 令和二年度は新型コロナウイルス感染症が収束次第調査旅費に使用する予定である。消耗品・設備備品費についても、調査資料の整理のために未購入のものを含め、適切に使用する。なお、調査旅費はさらに最終年度にずれ込む可能性もある。
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