研究課題/領域番号 |
19K00218
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
京都 絵美 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (40633441)
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研究分担者 |
早川 典子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (20311160)
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00416265)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 絹 / 製糸 / 絹本絵画 / 砧打ち |
研究実績の概要 |
今年度は博物館等でのコロナウイルス感染予防措置により複数人での調査が制限される状況であったため、作品調査は延期し、製糸、製織に関する技術的な分析、情報収集をおこなった。 現代製糸技術については大日本蚕糸会蚕糸科学研究所および蚕業技術研究所(茨城県阿見町)の協力を得て、最終齢の蚕の飼育、繭の系統保存、熱風乾燥機、煮繭機、自動繰糸機等を見学した。 また、繭検定繰糸機を使用した日本在来種蚕(小石丸)の繰糸を見学し、特殊な絹糸を使用する修復事業や復元事業の事例についても取材をおこなった。 在来製糸技術については調査作品を参考に絵画、絹織技術の復元的考察を進めており、今年度は特に絹織物の砧打ち効果に着目し検討をおこなった。次年度はより詳細な砧打ちの実験、観察分析を行う予定である。 そのほか美術史研究者から提供を受けた平安時代絹本絵画のポジフィルムをスキャンし画像アーカイブを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査にはマイクロスコープを用いており機材の設置、操作に人員が必要となるため、今年度は感染防止対策で調査人員に制限を設けている機関での調査が難しい状況にあった。 研究計画では古代絹本絵画の調査情報を参考に絹の復元制作を進めることを目標としているが、絵画技法に関する実験テーマを設定し、蚕品種の検討、蚕の飼育、殺蛹、製糸、製織と手順を踏むため実験の準備にも思いのほか長い期間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も調査に制限がかかる事態が続くようであれば、研究期間延長も視野に、作品調査によらない実験の割合を増やす等、研究計画を変更して遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を延期したため旅費、人件費を使用しなかった。現在準備している実験用試作絹の繭代、製織費に充て、試験費用、謝金に使用する予定である。また、研究期間を延長して作品調査を行うことも考えている。
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