学術的意義としては主として3つの領域に貢献している。第1に、本研究は福島の原発事故後のドキュメンタリーが環境問題にどう関係しているかを複数の観点からあきらかにすることで、近年人文学全般で盛んになってきた環境人文学および環境批評研究(エコクリティシズム)の発展に寄与している。第2に、映像学でも環境問題に関する研究が増えてきたが、本研究は映像メディアならではの特徴を重視しつつ、同時に福島第一原発事故後という特別な文脈を踏まえた分析をおこなうことでこの領域の研究を推し進めた。第3に、日本や東アジアの地域研究にも寄与するように、福島第一原発事故後の問題を地方、国、グローバルの関係を考慮して考察した。
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