研究課題
基盤研究(C)
現代日本を代表する存命中の作曲家,湯浅譲二と細川俊夫の,日本伝統音楽受容の様相を,彼らの作曲作品を通して明らかにしようと試みた。コロナ禍のため,一部研究目的や内容を変更したが,湯浅作品では「おやすみなさい」(島根大学の編曲委嘱による管弦楽伴奏版),細川作品では「さくら」および「人よ、汝の罪の大きさを嘆け」を中心に,音楽語法の特徴の一端を明らかにした。比較対象者のM.ジャレル,I.フェデレの作品についても一部言及した。
作曲
存命中の日本人現代作曲家に関する作品研究,中でも,楽曲分析的研究はほとんど行われておらず,わずかながらでも,その先行的な学術提案を行うことができたこと。また,作曲者本人へのインタビューを通して,その作曲統合過程の実際を記録にとどめるとともに,創作に至った企図などの楽曲背景についても明らかにできたこと。さらに,普段日本人作曲家の最新作を聴取することの少ない地方都市において,これらへの接触機会の増大というインパクトを残すこともできたこと。