研究課題/領域番号 |
19K00227
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
柴山 拓郎 東京電機大学, 理工学部, 教授 (80366385)
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研究分担者 |
大村 英史 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 講師 (90645277)
浜野 峻行 国立音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (70727693)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電子音響音楽 / コンピュータ音楽 / プロジェクトアート / サウンドアート / 芸術実践 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き, 本年度もCOVID-19の感染防止対策が緩和されないなか, 本研究課題の柱となるワークショップを実施することができなかった. 昨年度は, 本研究課題の柱を成す, コンピュータを用いた先駆的芸術音楽創作を多様な人々と共創するための, 実践概念を学際的視点からまとめた学術論文が採択され, 今年度は, その柱となるワークショップの実践手法を提案した学術論文が採択された. 今年度はその実践手法の妥当性について, 1) 電子音響音楽における音響素材の配列構造に関する理解を深める研究と, 2) 電子音響音楽の作り手・聴き手双方の, 比喩的な言語ラベルによる音響素材のイメージ補足を明示する実験を行い, 電子音響音楽の構造の科学的理解のための実験とその分析を行った. そのほか, 作品創作としては, ICMC2021の作品公募入選のほか, 本研究課題における創作の特徴を示す, ワークショップの事後協働制作・は、集団創作的な側面が強いため、特に音楽表現・音楽創作分野における社会通念上の達成目標との差異が生じる可能性を持っており、その克服のための集団制作の意味と意義に関する概念構築を行うための調査を行った. そしてその創作実践としての試作品の創作を行い, ICMC2022の作品公募入選を果たした. また, 社会実践としては, COVID-19の感染防止対策下における実践として「電子音響ピープルプロジェクト@ふじみ野」を文京学院大学および同まちづくり研究センターと協働し, オンラインでのワークショップおよび事後協働制作の可能性を模索した. また, 対面での創作ワークショップや展示の自薦が不可能なため, COVID-19の収束状況を鑑み, 研究期間を当面1年間延長しすることとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19による影響で, 本研究課題の核となるプロジェクトは依然として実現が困難な状況にある. そこで, 研究代表者らは, 昨年度を本研究課題の実践概念の構築に割りあて, その深化につとめることとし, 今年度は, 構築された実践概念を仮説として位置づけ, その仮説を明示する実践を行った. その実践は, 1) 経時的配列に関する必然性と偶然性, 2) 比喩的なイメージ把握とそのコントラストの多寡による創作に関する研究を通し, 実証データに基づいた展開を行うための基盤を構築するものである. また, 本研究課題で創作する, コンピュータを用いた先駆的芸術音楽の構造を, 通常の音楽作品と複雑性の多寡を基準に比較するための手法確立に取り組んでおり, 本年度の後半までにその基礎的手法を案出し, 現在までにその手法の精査にあたっている. そのほか, 本研究課題で取り組む, 協働制作作品の創作の社会的位置づけを明示するための作品創作とその国際会議への投稿を行ったほか, サウンド・映像インスタレーション作品としての創作・展示の試行として, Saitama Muse Forumおよび埼玉県立近代美術館共催による 展覧会「SMFアートの宝船展」における展示を行ったほか, VRを用いた仮想現実空間や, XR技術を用いた現実・仮想空間を統合したフィールドデザインをも視野に入れた展開を試行した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は, COVID-19の感染防止対策が緩和を期待し, 対面によるワークショップと事後協働およびそれらのプロジェクト全体についての参与観察を実践するためのスケジュールの再設定を行っている. これらの活動を国内・国外で実践するための調整も行っており, 今年度後半からの再始動が期待される. これら社会実践と並行し, 電子音響音楽の構造の理解のための研究についても, 今年度実践した実験・実証のための手法を掘り下げるほか, そこから得られた実証データによる生成モデルのデザインを行い, サウンド・インスタレーション作品の基盤的な機能として運用するための準備を行う. また, 集団創作的なサウンドインスタレーション展示の方向性を, VRを用いた仮想空間や, XRを用いた仮想・現実空間を統合する多層空間での作品表現への展開も視野に入れた取り組みを実践する.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染防止対策のため, 国内外における活動を実践することができず, 旅費および人件費の拠出ができなかったため.
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