研究課題/領域番号 |
19K00229
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
富 燦霞 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10795925)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 中国の伝統的身体観 / 中国舞踊 / 京劇 / 身体技法 / 中国医学 / 舞踊学 / 舞踊人類学 / 芸術実践 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまでにない視点から中国舞踊における伝統的身体観を追究することを目的とし、多国籍・多分野にわたる研究協力者を迎えており、技法の実演と検証のための国際的研究会の開催が必要である。しかし、昨年度から続いている新型コロナウィルス感染症の拡大により、国際間の移動ができず、緊急事態宣言に伴い大学施設が長期間閉鎖されるなど、計画していた研究会を開くことが不可能となった。よって、昨年度学会中止のため機会が失われた成果の公表に切り替え、オンラインで開催される学会において発表を実施した:①富燦霞「京劇の化粧にみる中国伝統の身体観」を、2020年12月5日開催の第72回舞踊学会にて発表。②富燦霞「京劇の表現技法にみる中国伝統の身体観― 二つの表現と臓腑経絡における気の状態 ―」を、2021年3月26日開催の日本スポーツ人類学会第22回大会にて発表。 上記のように、社会情勢のため正式な研究会を開催することはできなかったが、成果発表内容における必要事項に対して以下3名の研究協力者から個人的な協力を得た: A. 陳峙嘉(中医師・雅ほう唯心中医診所APHRODITE WESHEEN CHINESE MEDICINE CLINIC(台北))とインターネットを通してディスカッションを行い、専門的知見と助言をいただいた。 B. 張春祥(京劇役者・日本京劇進行協会代表・新潮劇院主宰)・ C. 張桂琴(京劇役者・新潮劇院)の個人の稽古場の提供を受け、専門的な知見及び実技の実演と録画に協力をいただいた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
表現技法における実演の検証は本研究にとって研究内容そのものである。新型コロナウィルス感染症の感染拡大という時勢に対応したいと考え、対面研究会による臨場実演と検証から実施方法を変更して、表現技法の録画を行った上で、その映像を用いてオンライン研究会を開催する予定であった。しかし緊急事態宣言による活動自粛のため大学施設が利用できず、技法の録画もオンライン研究会も不可能であった。研究における更なる進展が期待できないため、成果公表に切替え、前年度の研究内容を総括した。これにより、今後の研究に向けてより俯瞰的な視点を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
中国舞踊における伝統的身体観の検証を次の段階へ進み、前年度開催の研究会で導き出した「技法における短いフレーズと中医学における経絡の流注関係との検証」を次の課題とする。 2021年度には身体表現技法の検証における共同研究の方法を、時勢に応じて次の3つから選択する:①移動制限の無い場合には、元来の計画通り、多国籍の研究者を招き、対面式の研究会を開催する。②移動制限はあるが大学施設が利用できる場合には、オンライン国際会議を開催し、学内施設において表現技法の実演の録画を行い、検証する。③上記の①、②より厳しい状況の場合には、学外施設の利用を視野に入れ、表現技法の実演の録画を行い、オンライン国際会議で検証することを試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い移動や施設利用が不可となり、本研究の根幹である表現技法の実演と検証を実行できなかったため、次年度に基金を保留した。目下、社会は依然として厳しい状況にある。次年度には、引き続き時勢に順応し、オンライン研究会を開催できるように努める。オンライン研究会は、次の3つの方法で実施する:①事前に実演した表現技法を録画し、オンライン研究会で録画映像を検証する。②オンライン研究会の進行中に実演を同時に行い、①の録画映像とともに検証する。③舞台作品の記録を検証する。以上の遂行のため、次の機器を購入する必要がある:1.撮影カメラ付きのタブレット機器。2.舞台作品記録の読み込み・検証映像の書き出し機器。3. 記録に必要なディスク類。
|