研究課題/領域番号 |
19K00232
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
池田 泰教 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 講師 (10747918)
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研究分担者 |
赤羽 亨 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 准教授 (00347379)
飛谷 謙介 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (50597333)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | デジタルアーカイブ / メディアアート / アートドキュメンテーション / 3Dスキャニング |
研究実績の概要 |
本研究は鑑賞者を含むメディアアート作品(主に展示形態)の新たなアーカイブ手法の開発がテーマとなっており、技術的には、3Dスキャニング技術、多視点映像技術、音響技術を組み合わせた新たなアーカイブシステムの開発が主眼となっている。2019年度は、1)高精度な点群スキャニング手法のリサーチ、2)撮影実験、3)アノテーション機能の開発・利用実験を予定していた。1)については、取得データの精度と、展示空間への仮設置を前提とした可搬性に重きをおき、スキャナの比較検討を行った。最終的にIntel RealSense Depth Camera D435iを用いた複数台でのスキャニングを採用し、開発の基本方針を決定した。2)については1)の結果を踏まえ、2月23日に静岡文化芸術大学にて撮影実験1を行った。 この実験ではデータ取得システムの整合性、複数の照明環境での影響、人体の動きのバリエーションに対する精度比較、物体サイズと距離に関わる設置条件の検証を行い、取得データの比較と複数台での同期撮影における開発要件の確認を行った。 3)については当初予定していた開発が研究者の所属変更等の影響で遅れており、また、2020年度4月の利用実験(展示形態)がCOVID19に関わる社会情勢の影響によって延期となったために、当初計画に対して遅れている。 本研究は展示作品だけでなく鑑賞者の鑑賞行動を含むアーカイブ研究であるため、作品展示や展覧会の開催が困難になる等の現在の社会状況の影響を受けている。今後は当初計画の変更を適宜行いながら可能なことを見定め、研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のとおり2019年度は、1)高精度な点群スキャニング手法のリサーチ、2)撮影実験、3)アノテーション機能の開発・利用実験を予定していた。 1)については機種選定および開発の基本方針が決定されており、当初の予定通りの進行となる。2)については、2月23日に静岡文化芸術大学にて人体の動きを中心にした撮影実験を実施し、照明条件や設置方法等複数の状況下によるスキャニング精度の比較や、複数台でのデータ取得とそのマージ方法の確認を行い、当初の予定どおり実験を行うことができた。 3)については当初予定していた開発が複数の研究者の所属変更等の影響で遅れており、また、2020年度4月の利用実験(展示形態)が前述の社会情勢の影響によって延期となっており、当初計画に対して遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
前述のCOVID19に関わる社会状況の影響は、研究テーマへの影響だけでなく、研究者同志のコミュニケーションや開発体制にも影響があることから、当初計画の変更を適宜行いつつ可能な部分の研究を進めていく予定である。
具体的には2020年度後期に予定されている撮影実験2(メディアアート作品)の内容を再検討し、展示形態と観賞という前提が確保できるか再考し、より小規模で安全性の確保が容易な撮影実験を複数回行う変更を検討している。また、撮影実験の内容変更に伴い、研究スケジュールにおいては、スキャニングシステムのプロトタイプ開発やデータビューワーの開発により多くの時間を割くよう、計画変更を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では開発方針決定後に機材類の購入を予定していたが、リサーチ結果および撮影実験の結果を鑑み、機器類の購入を2020年度に行うこととし、物品費および人件費等を次年度に持ち越す変更をした。
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