本研究では、日本の現代美術において美術と親和性が低いものとして考えられ、看過されがちであった文学という芸術ジャンルを考察した。言語芸術によっていかに視覚芸術を描写するかが問題となるが、言語芸術は、視覚芸術を心的イメージとしてしか表象することはできない。それと同時に言語芸術と視覚芸術という二項は、少なくともイメージという共通項で結ばれているのである。本研究は次に、「もの派」を代表する韓国人の美術家、李禹煥に照準を定めた。李は1960年代後半から70年代前半にかけて、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」を牽引した。本研究では李の彫刻シリーズ〈関係項〉の展開と特徴を検証した。
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