研究課題/領域番号 |
19K00239
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
本村 健太 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70281946)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 構成学 / ハプティック / 糸かけ曼荼羅 / バウハウス |
研究実績の概要 |
今年度における成果は、日本基礎造形学会の学会誌『基礎造形 029』に掲載された「「糸かけ曼荼羅ボード」に関する実践研究 - 糸かけ曼荼羅による基礎造形 -」の学術論文にまとめたことである。 一般的な糸かけ曼荼羅の作品は、木板に打ち付けたピンに様々な色の糸をかけて作られており、糸という素材に触れながら手作業で形づくっていくものである。昨年度の糸かけ曼荼羅シミュレーションにおいては、シミュレーション結果を確認した後に実際の手作業を行う工程を想定したものであったが、単純に糸をかけていくのではなく、糸をかける方法を工夫することによって糸かけ曼荼羅の作品は多様に変化をつけることができる。当然ながら、複雑になればなるほど手作業での作品の実現は困難なものになっていく。しかし、このような複雑なシミュレーションで表現の可能性を探る方向ではなく、初心者や子どもでも比較的容易に糸かけ曼陀羅を体験できるようにする手工芸の簡易化(キット化)、また算数・数学的な規則性について、手を動かしながら学ぶことのできる教材化の方向で考察を進めた。 糸かけ曼荼羅においては、土台となる釘打ち板を準備するのが最初に手間のかかるところであり、これを使用せず、レーザー加工機でアクリル板などをカットしたボード(平面)に糸がかけられるよう工夫し、手工芸の素材や学習教材となるよう設計した。まずは簡易的な手工芸の道具、そして算数・数学的な教材としての「糸かけ曼荼羅ボード」の提案に向けて、基本的な糸かけ曼陀羅の造形原理を明らかにした。 その他、3Dプリンタなども使用した試作の造形物は「いわてメイカー展」(盛岡市アイーナ、県民プラザ)にて展示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に導入したレーザー加工機を用いて試作を重ねながら、「糸かけ曼荼羅ボード」の構成原理についてはほぼ解説が可能となった。3Dプリンタを用いた造形については現在試作を検討しているところであり、次年度に機材の拡充を行うことで予定の成果が得られる見通しとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の時点で研究計画において必要であったレーザー加工機の導入のために、前倒し支払い請求によって以後の計画を微調整している。そのため、少し遅れて次年度に3D制作用のワークステーションを導入することになった。今後は、レーザー加工機で平面を加工する手法とともに、3Dプリンタで立体物を造形することにもより一層取り組むことで、これらを組み合わせた展開を予定している。その後の成果は、バウハウスにおける造形教育の歴史に照らし合わせ、試作物を展示したり、学術論文としてまとめたりなどして「ハプティック・ヴィジュアル」の新たな構成学に方向づけしたい。
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