研究課題/領域番号 |
19K00244
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
青柳 路子 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (70466994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心のバリアフリー / 障がい者の芸術活動 / 教育 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスの影響により、本年度計画していたフィールドワークや現地調査が実施できない状況となったため、文献研究を優先し、研究基盤を充実させることに重点を置くことになった。 本年度の実績の1つが、「心のバリアフリー」論の位相について整理を試みたことである。障がい者理解を深める政策・取組等の総称として用いられている「心のバリアフリー」という言葉が次第に人口に膾炙し始めている現在、それに対して批判的にとらえようとする視点も見出されるようになっている。その批判的な視点は、特に「心」のとらえ方と、「バリアフリー」の意味に向けられている。本年度は、そうした批判的視点を論じた文献等を収集・検討し、「心のバリアフリー」の位相を示すことを試みた。 また、昨年度行ったフィールドワークの結果をもとに、学校教育で障がい者の芸術活動を通じた「心のバリアフリー」を目指す際の可能性と困難についての検討も試みた。「心のバリアフリー」を目指していても、その教育目標・教育方法から多様な展開が生まれる。一方で、東京パラリンピックが開催予定となってから進む、障がい者スポーツを通した障がい者理解と比較したとき、障がい者の芸術活動を通した「心のバリアフリー」の難しさも生まれる。そうした比較検討も踏まえて、障がい者の芸術活動を通した「心のバリアフリー」の可能性と困難について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最大の理由は、新型コロナウィルスの影響により、予定していたフィールドワークや調査が実施できない状況になったことである。本年度は、その代替の方法を十分に模索することができなかった。またパラリンピックが延期となったことにより、パラリンピック開催にあわせて進むと予想された「心のバリアフリー」や障がい者理解の取組についての調査、検討ができない事態となった。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワーク・調査が必要とされる点については、新型ウィルスの感染状況を踏まえつつ、時機を見て実施できるよう準備を進める。あわせてフィールドワーク・調査の代替としてオンラインの活用を検討し、研究の遅れを取り戻せるように工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、予定していたフィールドワーク、調査が行えなくなったため、旅費支出が大きく減額した。また研究の協力者への支払い等もなかったため、予定していた計画とはことなる支出となった。 次年度以降は、フィールドワークや調査を行える時機を確実にとらえ、研究を進めていくとともに、協力者への協力も得て研究を円滑に実施できるようにし、研究費を計画的に使用できるようにしていきたい。
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