研究課題/領域番号 |
19K00244
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
青柳 路子 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (70466994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 障がい者 / 芸術活動 / 心のバリアフリー |
研究実績の概要 |
本年度は、主として障がい者の美術作品等を展示する美術館への訪問調査と、文献研究から、障がい者の芸術活動と心のバリアフリーについて検討した。 日本国内には、「美術館」や「ギャラリー」などの名称を冠した障がい者の美術作品等を専門的に展示する施設がある。それらでは作品展示を通して、鑑賞者に障がい者の美術や芸術活動についての理解を促すだけでなく、それに付随する様々な取り組みを行っているため、障がい者の芸術活動と心のバリアフリーについて検討しようとする本研究では重要な調査対象である。 本年度は、特に「美術館」という名称で、障がい者の美術作品等を展示し、その理解普及に取り組んでいる施設を訪問調査した。いずれも規模としては大きいものではないが、その地域における障がい者の美術作品等の展示はもちろん、その理解普及を促す取り組みの中心的な役割を果たしていること、さらに各地の同様の美術館と連携して巡回展示などを行う「横」のつながりが積極的に行われていることがとらえられた。 日本において障がい者の芸術活動が注目されて以後、その芸術活動に積極的に取り組もうとする動きが各地で見られるようになり、障がい者の芸術活動を支援する施設を結んだ「横」のつながり、さらに障がい者の美術作品等を展示する美術館等を結んだ「横」のつながりが一層充実してきていると思われる。その充実は、日本において障がい者の芸術活動を支える確かな基盤となっているが、「横」を超えた/「横」からはみ出し一般の人々へのつながり、「心のバリアフリー」につながる契機をどのように生み出すかが課題である。 次年度は、本年度行われれた東京パラリンピックに関わる様々な障がい者理解推進の取り組みも振り返りつつ、「横」を超えた/「横」からはみ出す「心のバリアフリー」の契機について考察を深めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響を受け、予定より遅れている。学校教育における心のバリアフリーの取り組みの調査は、新型コロナウィルスの感染防止のため部外者訪問が叶わず実行できなかった。また障がい者の美術作品等を展示する施設等への訪問調査も、自治体のまん延防止等対応のため一時休館となり、本年度、調査できた箇所も限定されることになった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度休館等のため調査できなかった、障がい者の美術作品等を展示する「美術館」等への調査を次年度の早い段階で行うようにする。また学校教育における「心のバリアフリー」の取り組みについての調査も、新型コロナウィルスの状況を見ながらとはなるが、次年度可能な限り充実させるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、調査などの出張費用の支出が少なくなった。本年度できなかった調査は次年度行う予定のため、出張等の費用は次年度に支出する。
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