研究課題/領域番号 |
19K00245
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
古川 聖 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40323761)
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研究分担者 |
藤井 晴行 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50313341)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 身体 / 音楽 / 建築 / 空間認知 / クロスモダリティー / GPS / コンピューター / 認知科学 |
研究実績の概要 |
私たちが行ってきた一連の研究は建築空間と音楽作品を同時生成する自己開発したコンピュータプログラムを使い、目で見、耳で聴きながら実験をくりかえし、建築と音楽はモダリティーは異なるが、その知覚認知、及びに美的秩序の認知のレベルでの深層構造において共通の基盤を持つという仮説を具体的に機序・データおよびにアートとして表現することを目標としてきた。研究の核心にあるのは、この「対応関係の確からしさ」の根拠、このクロスモダリティーの様相と本質を見極めることにある。(それは単に建築のある要素が音楽のある要素に対応するということや建築の音楽への翻訳ではなく、人間の身体感覚を通した両者の共鳴関係のようなものであろう。)研究はこれまでも扱ってきた、シュレーダー邸やファンズワース邸などをモデル化し、人間の認知方法にそったグルーピングや構成の順序なども考慮に入れ、研究初年度とは異なった各種の方法で音化しその結果を耳で検証することを中心に進められ、それらの共通の深層構造に関して知見を広げ、深化されている。その成果の一部は建築音楽のパイオニアであるクセナキスに関する著作、From Xenakis’s UPIC to Graphic Notation Todayに寄稿された。6月以降、建築空間を中心とした上記の研究に並行し実空間内を歩き、移動し、GPSを使って位置検出を行うシステムを同時開発し、そのシステムを使い、12月には空間と音を同時に体験するコンサートとシンポジウムをおこなった。またその成果を生かし、愛媛県新居浜市美術館の委託を受け、「新居浜ウオーク」を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究自体はコロナ禍の中、オンラインで連絡をとりあいながら順調に行ってきたが、その成果の発表は予定通りには行われていない。コロナ禍のため海外での学会、フェスティバルにも参加できず、また国内でインスタレーション等の形式で発表する機会がえられず、建築モデルをつかったインスタレーションの制作は現時点では行われていない。実作の展示を前提としたシンポジウムなども行なっていなので、そこからえられるであろうフィードバックが研究に加味されていない。そのような中、野外で行うことが可能であった、空間体験モデルを使った「あるく空間楽器コンサート」のみが公開のイベントとしてコンサートとシンポジウムがおこなわれた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は次年度(2021)が最終年度であり,研究成果としてのインスタレーション形式での実展示、発表、研究公開シンポジウムなどを行い、そこからえられるフィードバックもふくめ研究成果としまとめることを目標とするが、コロナ禍の状況は予断を許さない状況にあり、そのことも考慮の上、現在準備をすすめている、実展示とは違った形式での発表(本の形式での公開)も視野に入れ研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
東工大の繰越があるため。
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