研究課題/領域番号 |
19K00255
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
滝口 洋子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (70336725)
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研究分担者 |
吉田 雅子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (40405238)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 祇園祭 / 祭礼 / デザイン / 浴衣 / 衣装 / 幕 |
研究実績の概要 |
本研究はユネスコの無形文化遺産である京都の祇園祭に関する研究である。祇園祭の曳山の一つである鷹山は、江戸時代に暴風などによって大半が損壊してしまった。鷹山が市内の巡行に復帰する際に必要な衣装、小物類、裾幕などに関して調査を行い、それに基づいてデザインを起こして実物モデルを制作することを目的とする。 3年計画の3年目にあたる2021年度は、コロナウイルスが発生して2年目にあたり、まだウイルス蔓延の状況にある。だが、本年度に裾幕のデザインを行わないと、次年度予定されている鷹山の巡行復帰に間に合わない可能性があるため、コロナの合間をかいくぐるようにして、リモートを行いながら裾幕のデザインを実施した。 裾幕に関して、一次資料、絵画資料、現存作例の調査を行い、その特徴や傾向を導き出した。その結果に基づいて、複数のデザイン案を考えた。鷹山保存会と京都市立芸術大学の教員及び学生がリモートでつながり、デザイン案に関する修正を行った。さらに保存会にリモートでプレゼンテーションを行い、保存会が1点のデザイン案を選出した。しかし、その案はまだ実現化に向けて問題点があったため、京都の地場の職人などと相談しながらさらなる修正を行い最終デザインを決定し、その現物モデルが2022年4月に完成した。 なお、コロナによって展示が後ろ倒しとなっていた2029年度の音頭取りと車方の衣装デザイン及び2020年度の小物類のデザインの現物サンプルを、本年度に京都市内の祇園祭ギャラリーにおいて展示した。 2022年の祇園祭の巡行が行われることが決まったため、本プロジェクトでデザインした衣裳と裾幕を用いて、鷹山は200年ぶりに山鉾巡行に復帰する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス蔓延のため、鷹山保存会などとの連携が難しかったが、そのような条件の中でリモートを駆使するなどして最大限の努力を行い、予定していた裾幕のデザインを実行した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は鷹山が巡行に復帰する年にあたるため、巡行が実現したら、巡行に用いられている衣装や裾幕の状況写真を撮影したい。 今まで行ってきた鷹山に関連するデザインをとりまとめ、それらのデザインとそれらが実際に祭礼に用いられている状況の写真を組み込んで、報告書を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本計画は3年間であったが、コロナ発生のために裾幕のデザインが1年間後ろ倒しになった。そのため計画を1年間延ばすことにした。 2022年度は鷹山が巡行に復帰する年にあたるため、巡行が実現したら、巡行に用いられている衣装や裾幕の状況写真を撮影して、今まで行ってきた鷹山のデザインをとりまとめる。そのための撮影費、編集費、印刷費などに予算を使用する。 祭礼は一般の人々が多数参加するものなので、一部の研究者に向けた学術報告書ではなく、一般の人々にわかりやすい報告書を制作する予定である。
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