研究実績の概要 |
研究の目的として 1)多チャネル音響固有な音響表現として、音響知覚心理上の群化、音脈分擬、サウンドコラージュエフェクトを応用した音脈モワレ表現を確立する。2)ポストプロダクションとしてのオーディオレコーディング再生技術にならい、ミクストミュージックの再現法について検討する、3)多チャネル音響、および空間音響を用いた音楽表現の場を広く求めて本分野の発展につくす。の3点をあげた。このうち、初年度より1)を中心に進めてきた。2)はコロナ禍で対応できず、3)は2021年度に対応している。 1)の音脈モワレ現象について、さらに実験を進めた。2019年度は、基本的には2チャネルを対象として、その現象の存在の確認と群化特性について心理実験をもとに進めた。2020年度は、この結果をさらに4チャネルに広げ群化特性を調べた。2チャネルの検討時に、まずは、スピーカ受聴の前に、ヘッドフォンで群化が起こるか否かを確認して、ほとんど起こらなかったことを踏まえ、同様に、4チャネル実験時には、まず、反響のない無響室で4chに調波を分解して流して、群化特性を調べた。 音の分解は、4chに対応し、1,5,9.. 倍音、2,6,10...倍音という具合に4つおきの調波複合音を作成した。これを各4chのさうぴーかーに割り当てて群化特性を調べた。1,4,9,...倍音は非常に他の音が群化されやすく、オリジナルなピッチを知覚できる。しかし、他の音は無響室ではあまり群化しなかった。また、2019年度と同様2chへの分解音声を4chに適用した場合でも実験し、空間上の群化/分離の特性の調査を開始した。 これらの実験の結果、無響室では、音の反射がないため、群化が起こりにくく、分離しがちであることがわかった。
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