最終年度である2023年度は、渡航制限が解除された国外地域、および国内での成果発表を積極的に行った。 AAS-in-Asia(韓国・大邱)ではパネル"Archiving Chinese Independent Cinema”に参加し、草場地工作站の事例を"Living Archive"という概念を用いて分析した。また、コロナ禍により延期されていたChinese Independent Film Archive (CIFA)設立記念プログラム(英国・ニューカッスル)に招聘され、シンポジウム"Overseas Circulation of Chinese Independent Films since the 1990s"に参加、日本および各地域における中国インディペンデント映画の流通と受容について比較検討した。SCMS(米国・ボストン)ではパネル"Unlearning Documentary Film History in East Asia"に参加し、ジェンダーの視点からオンライン映画祭・母親影展を論じた。また、母親影展2023(中国・オンライン)では”Mother to Be Shot”と題した招待講演を行い、その論点が翌年の同映画祭開催テーマ”Filming as Nurturing”を導くこととなった(「備考」参照)。 日本国内では、青山学院大学、座・高円寺ドキュメンタリー・フェスティバル、木下恵介記念館(「備考」参照)等での招待講演を行ったほか、神奈川大学にて洛洛、李新月、ミツヨ・ワダ・マルシアーノを招き、ディスカッションと上映会「台所のダンス 居間のファンタジー―パンデミック下の開かれた密室」を企画、同大学中国語学科主催、日本映像学会アジア映画研究会共催により開催した(「備考」参照)。 以上に加え、「ワクチンとしての物語――章夢奇のドキュメンタリー作品における女性の語りを手がかりに」が共著『動物×ジェンダー マルチスピーシーズ物語の森へ』として出版された。
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