昨年度までに行った研究成果の内容をとりまとめることを本年度の研究内容とした。 本研究では、吹奏楽団等との区別を行うために、オーケストラの条件として①管楽器、打楽器、弦楽器によって構成されている団体、②概ね20人以上の演奏団体であることをあげ、これに加えて、①演奏することで収入を得ている(それを生業としている)、②「特定の曜日に公演を開催することが出来ない」ということがないという2条件をプロフェッショナルの定義として示した上で、日本の小規模プロフェッショナル・オーケストラ(日本オーケストレ連盟の非加盟団体、準会員であることを条件とする)について、アンケート調査、ヒアリング調査、統計調査を行った。 アンケート調査では比較の対象として選定した吹奏楽団2団体を含め、10団体からの回答を得ることができた。調査の結果、法人格や事務局体制、オーケストラ連盟への加盟意欲も含めた活動目的、公的/私的支援の有無、楽団員との関係(契約関係を含む)など、極めて多様であることが明らかとなった。ただし、アンケートの回答数が十分なものとなりにくいことは当初から予定していたため、追加調査をヒアリングにて行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大のため、中止せざるを得なかった。その理由として、物理的に移動が制限されたことに加えて、多くの団体が事業継続のための補助金を得たことで、事業構造が大きく変化したことが挙げられる。 そのため、ヒアリング調査の目的を活動実態と、それに関する課題を当ものに切り替えて一部実施するとともに、公表されている統計による調査により、日本オーケストラ連盟正会員、準会員団体における新型コロナウィルス感染症のインパクトを調査することとした。しかしながら、正会員団体においても公表された統計は十分でなく、確定的な結果を得ることには到らなかった。
|